文/下川裕治 写真・動画/中田浩資

 

■沖縄の離島を走る本島の中古バス

 新刊書籍『沖縄の離島 路線バスの旅』の見本誌が刷りあがり、事務所の机の上に置いていたときだった。知人がやってきて、本の表紙を見るなり、こういった。

「おッ、カナチュー」

 この意味がわかるのは、神奈川県在住者かかなりのバスマニアではないかと思う。

 カナチューというのは、神奈川中央交通の略称である。神奈川県を中心にバスを運行している。バスの保有台数は2000台を超え、本州でも規模の大きなバス会社だという。

 だから神奈川県に住む人は必ずといっていいほど、カナチューの世話になる。知人は小田原出身だった。

 しかしこの本は沖縄、それも離島を舞台にしている。表紙の写真は座間味島で撮った。座間味島を走っている路線バスなのだ。

 ということは……。座間味島を走っていた路線バスは、神奈川中央交通の払い下げ、つまり中古のバスだった。

 バスに詳しければ、座間味島の港でこのバスを目にしたとき、ピンとくるのだろう。しかし僕は路線バスに乗ってばかりで、車両にはまったく興味がない。知人から、「カナチュー」といわれるまで知らなかった。

 

座間味島の路線バスはこの1台だけ。それが神奈川中央交通の中古バス。離島ですなぁ

神奈川中央交通の中古バスが座間味島を走る。こうして観ると、耳に届くエンジン音は中古車っぽい?