韓国ドラマはなぜこれほど面白いのか。そのことを根源的に考えると、「ドラマを制作する人たちの層がとても厚い」ということが挙げられる。実は、韓国の大学には演劇・映画(映像)の学部・学科が40余りある。人口が5000万人規模の国で、アカデミックに演劇・映像を専門的に学ぶ学科が多いという事実は大きい。
■韓国の大学に40余りある演劇・映像学科、大学で専門的に学ぶ意味とは
総合大学の中にある演劇・映像学科の人気は高く、受験志望者がとても多い。必然的に合格するのは難関なのだが、それだけ優秀な人が集まってくる。
その人たちが4年間専門的に学んで、演劇や映像の必須知識を身に着けていく。その中から俳優をはじめとして、演出家、脚本家、プロデューサー、撮影監督、企画プランナーなどが育つ。
そうした土壌となる演劇・映像学科。特に「3強」と呼ばれるのが中央(チュンアン)大学、漢陽(ハニャン)大学、東国(トングッ)大学である。各大学の出身者の中から著名な俳優を見てみよう(一部、演劇・映像学科以外で学んだ俳優、中退者も含む)。
中央大学で学んだのは、ヒョンビン、カン・ハヌル、キム・ヒソン、チャン・ナラ、キム・サンギョン、イ・ビョンホンなどである。
漢陽大学は、イ・ヨンエ、チェ・ジウ、チャン・グンソク、イ・ドンゴン、ソル・ギョング、ペ・ドゥナ、クォン・ヘヒョとなっている。
東国大学は、ハン・ヒョジュ、ハン・ソッキュ、チェ・ミンシク、イ・ジョンジェ、チョ・インソン、チョン・ジヒョン、シン・ミナなどである。
以上の俳優たちは、大学で演劇・映像の専門性をどのように身に着けるのだろうか。たとえば、中央大学の演劇学科のカリキュラムを見てみよう。
1~2年時に、演劇概論、韓国演劇史、演劇文献研究などを学び、さらに、話術や舞台技術などの実技能力を磨いていく。そして、3~4年時に、テレビドラマ制作実習、演出実習、演劇製作などを専門的に学ぶ。
また、東国大学の出身者に著名な俳優が多いのは、同大学が「専門職としての俳優の養成」という理念を掲げているからだ。
教授陣は海外の大学で演劇に関する修士号や博士号を取得している人が多く、専門性を備えた俳優の養成に力を入れている。また、舞台演劇にも力を入れており、舞台美術、照明、機材の操作技術などの授業も多い。