Netflix配信の注目ドラマ『トリガー』は、韓国社会に銃をばらまく秘密組織とそれを防ごうとする警察官イ・ド(キム・ナムギル)の物語。起きてほしくないことが次々と起きる恐ろしいアクションスリラーだ。(以下、一部ネタバレを含みます)
■キム・ナムギル主演『トリガー』で描かれる韓国社会の歪み、銃は「火に油」!
ドラマや映画は世相を映す鏡といわれるが、ここ数年はSPEC競争(学歴、ルッキズム、投資熱、格差社会など)に疲れた韓国人を慰めたり、その凄絶さを誇張して見せつけたりする作品が多い。『トリガー』はその究極と言えるだろう。
ハッとさせられるのは、準主役であるムン・ベク(キム・ヨングァン)のセリフ。いずれも今の韓国の状態を看破する言葉だ。
「(徴兵制があるので)国民の半分が銃を使える」「精神的な戦争状態に陥っている」「対立や争いが蔓延し、誰かが引き金を引こうものなら……」
そんな国に拳銃をばらまいたらどうなるのか? フィクションとはいえ、一韓国人として本当にゾッとした。
追い詰められて銃を手にすることになる4人(簡易宿泊施設の正義漢、GPS付き足輪で監視される前科者、理不尽なイジメに遭う高校生、息子を殺された母親)には、身につまされたり、胸を痛めたりする視聴者が多そうだ。
SPEC競争に疲弊する韓国人社会、ストレスで爆発寸前の韓国人社会を背景にした作品と言えば、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』『#生きている』『ゾンビ娘』、ドラマ『今、私たちの学校は…』『HAPPINESS/ハピネス』などのKゾンビ作品が思い浮かぶ。『トリガー』6話の高校での惨劇は、『今、私たちの学校は…』のゾンビを銃に置き換えたものと見ることもできる。現実の銃は架空のゾンビよりさらに恐ろしい。