――2014年ブラジル大会では、決勝を賭けて争ったドイツ戦で、前半に5失点するなど1-7の大敗を喫しました。『ミネイロンの惨劇』はなぜ生まれたのでしょうか。自国開催のプレッシャーや観衆からのプレッシャーに、メンタル的にもっと準備が必要だったのでしょうか。

「この大会で急にブラジルサッカーの質が落ちたわけではない。彼らはいいサッカーをしていた。結果として臨まれない形になっただけだ。もしもチリ戦(準々決勝、PK戦の末勝利)で負けていたら、ドイツに叩きのめされるというドラマチックで余りに悲しい結末にはならないで済んだのかもしれない。これほどの大きな傷を受けることなく、ブラジルサッカーの歴史に最大の汚点を残すことはなかったのかもしれない。ブラジルは、前年のコンフェデレーションズ杯の優勝で自信を持ちすぎた。実際のところ、コンフェデ杯自体は、それほど重要な意味を持つ大会ではないにも関わらず、だ。コンフェデ杯に出場したスペインも、イタリアも浮き足立っているような安心感があったかもしれない。ウルグアイ以外のこの2チームは、予選リーグでまさかの敗退となってしまった。ブラジルもコンフェデ杯の成功で、1年後も同じことができるという心のゆるみができたのかもしれない」

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