■覚悟を決めてビールを注ぐも…

 運転手が「50ナイラ出せ」と言います。お賽銭です。運転手とその友だちも50ナイラずつ出し、合計150 ナイラを捧げてブツブツと祈りの言葉を唱え始めました。友だちが付いてきたのは、「久しぶりのお祈りに来たかったから」だったようです(ムスリムなら、本来アッラー以外の神に祈りを捧げてはいけないはずですけどね)。

 お祈りを終えてイバダンに戻ってきたら、ちょうどお昼時でした。そこで運転手とその友人に「どこかでビールでも飲んで行こうよ、奢るから」と言うと、ホテルのそばの道端の屋台店に入っていきました。

決勝戦の記者席の入場チケット。PCで作った手作り感満載のものだった

 グラスが出てきましたが、なんと洗ったグラスの底には水が溜まったまま……。お客さんたちは、グラスを振って水を切ってからビールをついで美味しそうに飲んでいますが、とても衛生的には思えません。「う~ん。A型肝炎の予防接種はしてきたけど……」。しかし、ここまで来て、「いや、これは飲めない」というのは失礼でしょう。覚悟を決めて彼らと同じようにグラスを振ってからビールを注ぎました。

 すると運転手が「お前はアフリカに住んでるのか?」と尋ねます。「いや、東京から来たんだよ」と言うと、こう言われました。

「ふつう、外国人は怖がってこんな店には来ないゾ」

 さて、イフェでのお祈りのご利益のおかげか日本はメキシコに2対0で快勝。フィリップ・トルシエ率いるU-20日本代表は日本サッカー史上初めてFIFA主催の世界大会で決勝進出を果たし、決勝ではシャビ・エルナンデスのスペインに0対4で完敗したものの準優勝に輝きました。

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