■ハードルの高いACL

 ワールドカップ2022カタール大会の会期は2022年11月21日から12月18日。通常なら大会の前年11月であるはずの予選の最終期限(大陸間プレーオフまで終了)は2022年3月と設定されている。

 その予選の進捗(しんちょく)状況は地域によってさまざまだ。

 欧州では予選スタートは来年3月の予定だが、来年6月に予定されていた2節分が、EUROの

「後ろ倒し」で、現状の「国際試合期間」では消化できない。

 南米はことし3月に全10チーム2回戦総当たりの予選(全18節)がスタートする予定だったが、ことし9月までの4節が延期になり、さらに「後ろ倒し」のコパ・アメリカがはいる来年6月が使えないため、6節分が宙に浮いた形だ。

 アフリカはことし10月から試合ができれば問題はない。

 北中米カリブ海は9月開始予定だが、9月に予定されている2節が延期になってもまだ余裕はある。

 オセアニアはまだスケジュールが決まっていない。

 アジアの「10月再開」は現在発表されているFIFAの「国際試合期間」を使っての予選終了までぎりぎりのタイミング。だが他の地域が6月あるいは9月までの試合をただ延期し、その後の日程はいじっていないだけなのに対し、「10月にスタートする」と決めたのは一歩踏み込んだ形と言える。しかし不確定要素が多いのは否めない。

 世界の各国でさまざまな制限が段階的に解除され、国内リーグが再開されようとしているといっても、それは「無観客」という限定的な形にすぎない。クラブを救うため、あるいは社会に活力を与えるためなどの理由で、プロサッカーとしては非常に不自然な形での再開であることを忘れてはならない。

 より大きな問題はACLだ。AFCは現在のフォーマットを崩さずに決勝まで残り99試合を実施すると発表したが、それはワールドカップの2次予選以上にハードルが高い。

 グループステージ全6節のうち、感染拡大が遅れた西地区は全4グループが2節を消化し、残り4節となっているが、すべての組に中国のクラブがはいる東地区の4グループは2節までに未消化の試合もあり、さらに厳しい状況にある。

 決勝戦まで進むと、今後少なくとも12試合日を確保しなければならない。Jリーグのクラブを考えると、それを7月からの日程のなかにはさむのは、果たして可能だろうか。

 ACLに出場している3クラブ(横浜FM、神戸、FC東京)が属するJ1は、7月4日に再開し、12月19日までに残りの33節を消化する。この間の週末は25回。そのうち1回はルヴァンカップ決勝があてられるだろうから、残りは24回。これには、9月の国際試合期間だけでなく、AFCが日程を発表したワールドカップの2次予選4試合の期間となる2回の「代表活動期間」も含まれている。それでも、少なくとも9回の「ミッドウィークマッチ」がはいる。このほかにルヴァンカップが少なくとも1試合ははいる。これらに割り込むようにACLを入れることなどできるのか。

※後編に続く

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