■「生活必需品セット」を配るフラメンゴ

 困っている人がいれば手をさしのべる。

 そんなこの国の美徳は、サッカー界にも根づいている。

 ブラジルでは昔からチャリティゲームが盛んで、そこにはこの国ならではの伝統がある。保存の効く食料を一定量持参すれば、入場料が割り引き、もしくは無料になるのだ。

 持ち込まれる食料は、保存が効く米や豆、パスタが多い。

 いずれもブラジルの食卓には欠かせないもの。豆は国民食、フェイジョンとなる。

 感染症の特性上、現在チャリティゲームを実施することはできないが、それでもサッカー界は精力的に生活困窮者への支援を行なっている。

 その中でも目を引くのが昨年、南米王者を決めるコパ・リベルタドーレス、ブラジル全国選手権、リオ州選手権の3冠を制覇したフラメンゴだ。

 栄光のチームにも、新型コロナウィルスは容赦なく襲いかかった。

 ジョルジ・ジェズス監督をはじめ、選手やスタッフに陽性者が出て、クラブに40年務めたマッサージ師が亡くなるという悲劇にも見舞われた。

 そんな厳しい状況にもかかわらず、クラブは困った人に手をさしのべている。

 フラメンゴが行なうのは、本拠地リオ・デ・ジャネイロに無数に点在する、ファベイラ(スラム街)への「生活必需品セット」の無償配給。

 このセットは前述した米や豆、パスタに加え、コーヒー豆、ビスケットといった日持ちする食料品がメインだが、消毒用のアルコールジェルも含まれる。ジェルの容器には、赤と黒のフラメンゴのエンブレムがあしらわれている。

 新型コロナの感染拡大によって、ただでさえ貧しいファベイラには失業者が急増。石鹸ひとつ買うこともままならない多くの人々にとって、フラメンゴの配給は恵みの雨となっている。

 支援活動を行なうのは、もちろんフラメンゴだけではない。各地のクラブが練習も満足に行なえない中、こうした活動に奔走しているのだ。

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