イバルボとのコンビで得点した長崎の新外国人選手

 長崎は北九州との“九州ダービー”を2対1で制した。

 就任2年目の手倉森誠監督は、今シーズンから3-4-2-1のシステムを採用している。08年から13年まで指揮したベガルタ仙台では、4バックを軸とする組織的な守備を代名詞とした。14年から16年夏まで活動したリオ五輪代表でも、4バックをベースに戦術的な変化を生み出していた。

 昨シーズンの長崎でも、リーグ戦は4バックで戦った。「手倉森監督と言えば4バック」だったが、昨年12月の天皇杯準決勝で3バックを採用する。対戦相手の鹿島アントラーズが、「3バックの相手にてこずっている」との分析に基づいたものだった。

 そして今シーズンは、開幕から3バックを採用している。J3から昇格してきた北九州を退けた一戦でも、システムのメリットが攻守に生かされていた。

 開始5分の先制ゴールは、右アウトサイドの毎熊晟矢のクロスを、左アイトサイドの亀川諒史が鮮やかな右足シュートで仕留めた。3-4-2-1の「4」の両翼が、しっかりと攻撃に絡んだ結果である。攻撃の局面では全体が押し上げて適切な距離感を作り出し、プレーの選択肢を増やしながらテンポよくボールを動かすことができていた。

 守備の時間帯も、後ろに重くなることはない。3バックの両脇を締めながら、それぞれがマークをぼかさずに対応できていた。

 65分には新外国籍選手がポテンシャルを見せつける。

 ブラジル人MFのルアンだ。62分に投入されたばかりの背番号10は、センターサークルの手前からドリブルで持ち込み、ビクトル・イバルボとのワンツーから力みなく右足を振り抜く。GKはノーチャンスだった。

 Jリーグデビュー戦で貴重な追加点をあげたルアンの得点までは、「うまくいっていた」と手倉森監督は振り返る。しかし、79分に失点を許しただけに、「2対0になってからの試合運びは、今後の過密日程のなかでもう少しうまくやらなければいけない」とも話した。

 順位表の真ん中以降に目を移すと、15位のFC町田ゼルビアから22位のザスパクサツ群馬までの8チームが、まだ勝利をつかんでいない。20位の栃木SC、21位のギラヴァンツ北九州、22位のザスパクサツ群馬は2連敗だ。

 7月は4日の第3節から29日の第8節まで、6試合が予定されている。リーグ全体の力関係が、これから少しずつ見えてくる。

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