■女子プロ・リーグ成功の難しさ

 だが、女子プロ・リーグの成功はそれほど簡単なことではない。

 世界の中で女子サッカー人気が最も高いのはなんといってもアメリカ合衆国で、アメリカでは「サッカーは女子のスポーツ」と思っている人たちも多いほどだ。しかし、そんなアメリカでも女子のプロ・リーグは何度も破綻を経験している。2009年に始まったWPSは2011年で終了。翌2013年に現在のNWSLがスタートし、その後8~9チームが参加しているが、その間、活動休止に追い込まれたチームも複数ある。

 現在、西ヨーロッパ各国では女子リーグの人気が急上昇しているが、プロ・リーグが成功しているのは財政力の高い(男子サッカーの)ビッグクラブが力を入れているからだろう。

 日本でも、女子のプロ・リーグが成功するかどうかは予断を許さないのだ。

 たとえば、なでしこリーグは代表がワールドカップで優勝した2011年には1試合平均2796人の観客を集めたが、2018年には1414人にまで落ち込んでしまった。この1点だけを見ても、プロ化を成功させることが容易なことでないことは明らかだ。

 それだけにプロ化については慎重論も根強かったのだが、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長のリーダーシップで2021年秋のスタートが決まったのだ。

 2011年のワールドカップ優勝によって女子サッカーが注目を集めたように、プロ化を成功させるには代表の活躍は必須条件だろう。Jリーグの成功も、開幕前年の1992年広島アジアカップでの優勝や開幕の1993年のドーハの悲劇など代表の躍進があったからだったし、2002年ワールドカップ開催とそれに伴う大規模スタジアムの建設などもJリーグを成功に導いた。

 東京オリンピックで女子代表が金メダルを獲得し、さらに2023年の女子ワールドカップの日本開催が決まっていれば、WEリーグ成功に向けて大きな起爆剤となっていたはずだ。ところが、日本は女子ワールドカップ招致に失敗してしまったのだ。

 新たにスタートするWEリーグにとっては大きな痛手となりかねない。

※後編に続く

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