■組織的に攻撃する、見て面白いサッカー・スタイル

 若い選手を育ててビッグクラブに売却する……。それが、育成型クラブとしての経営の基本だ。

 2010年からクラブの会長を務めるアントニオ・ペルカッシは元アタランタのDFでもあった実業家だが、選手を売却しながら健全な経営を実現し、そして古いホーム・スタジアムの改修にも着手した。

 まず観客席に屋根を設置するなど改修工事を行い、2017年にはスタジアムをベルガモ市から買い取ってスタンドの全面改築に取り掛かった。すでに北側のサイドスタンド(ゴール裏)は完成し、続いて南側ゴール裏の取り壊し作業に入っている。陸上競技兼用の古色蒼然とした楕円形のスタジアムだった本拠地は、いずれはイングランド風のボックス型の専用スタジアムに生まれ変わる予定だという。

 こうした小規模クラブにとって、トップチームの強化のためにいつ、どれだけの予算を投じるかというのが難しい決断となる。

 もちろん、トップチームの成績が上がればクラブ経営は豊かになるのだから、チャンスがあれば強化のために思い切った投資もすべきだ。だが、それで強化に失敗してしまえば過大な人件費や借金が残って将来のクラブ経営を脅かす。

 ガスペリーニ監督就任後、上位に食い込んだアタランタの首脳陣もそのあたりには大いに頭を悩ませたことだろう。

 2019/20年シーズンではついにCLに初挑戦することになり、クラブは思い切った投資をした。1500万ユーロ(約18億円)を投じてフィオレンティーナからコロンビア代表FWのルイス・ムリエルを獲得したのだ。2018年にユベントスがクリスティアーノ・ロナウドを獲得するために投じた移籍金1億1700万ユーロ(約153億円)と比較すれば10分の1の金額だが、それでもアタランタにとってはクラブ史上最高額の移籍金であり、「思い切った投資」と言われたのだ。

 それでも、財政的には小さな存在であるアタランタが、ロナウドのいるユベントスやズラタン・イブラヒモビッチを加入させたミランより多い98ゴールを決めてみせたのだから、サッカーは面白い。

 ガスペリーニ監督の作り上げた組織的サッカーの成果と言わざるを得ない。

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