日本誕生、鉄人兵団、ひみつ道具博物館! 大人にオススメしたい『映画ドラえもん』3選の画像
画像は『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』ブルーレイ通常版より

 今年で連載開始から50周年を迎えた藤子・F・不二雄による漫画『ドラえもん』(小学館)。テレビ朝日系で放送中のテレビアニメは2005年に声優陣や設定などが大幅にリニューアルされ、今年8月7日からは、新体制となって以来15作目となる劇場版作品『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が公開開始となった。

 これだけ歴史あるシリーズともなると『映画ドラえもん』については“子どもの頃は見ていたけれど今は見ていない”という人も多そうだが、今のドラえもん「新ドラえもん」こそ、大人にオススメしたい作品。2005年に行われたリニューアルでは、ドラえもんの声が大山のぶ代から水田わさびに変わった、といった声優陣の変更があっただけでなく、ドラえもんとのび太の絆の強さはもちろん、今まで描かれていなかった親子関係や、また敵キャラとの深い交流などがより見えるように、作風の変化があったように思う。そこで今回は、これだけは見てほしい“新ドラえもん”の魅力がたっぷり詰まった『映画ドラえもん』を3作品紹介したい。

■大胆な新キャラ追加が成功

 まず最初に紹介するのは2011年公開の『新・のび太と鉄人兵団~はばたけ天使たち~』。物語の舞台は北極で、巨大なロボットの足と謎の青い球体を拾ってきたのび太とドラえもんが鏡面世界を作り、巨大ロボット「ザンダクロス」を組み立てるというストーリー。ロボットの持ち主だと名乗る「リルル」という不思議な女の子が現れるが、彼女たちは地球侵略をもくろむロボットの星「メカトピア」のスパイだったのだ!

 ……と物語は1986年公開の『のび太と鉄人兵団』と同じものではあるが、本作ではザンダクロスの脳である青い球体・ジュドが、ひみつ道具「おはなしボックス」でヒヨコのようなかわいらしい姿に変えられ「ピッポ」というオリジナルキャラとして登場する。

 1986年版では、のび太たちと関わる敵ロボットはリルルのみであったが、ピッポが登場したことで、複雑な心の交流エピソードが描かれるようになった。最初はのび太たちを敵と認識していたピッポは、ドラえもんを助けにいこうとするのび太に「助けてなんの意味があるんだ?」と、冷酷な反応しかしない。しかし友人だから助けるのであって「そこに意味なんてない!」と力強く返答したり、自分のことを体を張って助けてくれるのび太へ少しずつ心を開いていく。

 ラストに描かれるリルルとしずかちゃんの戦いが『のび太と鉄人兵団』の見どころだが、本作ではのび太たちとメカトピア軍の戦いにピッポが加わる。「みんなを守るためなら」と自らを壁にしてのび太たちを守る姿は必見だ。リルルとしずかちゃん、ピッポとのび太。それぞれが大事な友人や人間たちのために戦っていく姿はかっこよく、そしてとても切ない。ピッポが加わったことによって、リルルの心の変化も感じ取りやすくなっており、キャラクターを追加するという大胆なやり方であったが、新ドラえもん映画作品の中でも抜群に素晴らしいリメイクだったといえるだろう。

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