■非道な主人公の行動を忠実再現?

 辺境の勇者である主人公ハーメルは、大きなバイオリンを担いで「魔曲」と呼ばれる力で敵を倒すという珍しい設定。北の都に住む大魔王ケストラーを倒すために、ヒロインである村娘「フルート」と、言葉をしゃべる謎のカラス「オーボウ」と一緒に冒険の旅に出ます。

 ……とストーリー自体は王道ファンタジーなのですが、ギャグ漫画としてスタートを切った作品らしく、たとえシリアスなシーンでも容赦なくギャグシーンをぶちこんでくるハチャメチャな展開が魅力。特にギャグパートでのヒロイン・フルートは、主人公ハーメルから「魔曲」で操られて無理やり魔物と戦わせられたり、その影響で寿命が縮んだり、人買いに売られそうになったり、変な着ぐるみを着せられて見世物にされたりと、とんでもなく不遇な扱いを受けます。

 そして本ゲームでは、そんな原作のギャグシーンをしっかりとゲームシステムに昇華。ヒロインであるフルートにひどい仕打ちをしなければゲームがクリアできないという驚きの仕様になっています。

 フルートの頭上に乗って踏み台代わりにしたり、ヘンテコな着ぐるみを着せてその能力で障害を乗り越えて進んでいく斬新(?)なシステムを採用。そのうえ、ヒロインのフルートを物理的に投げ飛ばし、敵にぶつけて倒したり、ブロックを破壊したりすることも可能です。

 まるでヒロインを便利な「飛び道具」扱いにした前代未聞のシステムは発売当時も話題に! 現在のスクウェア・エニックスの公式サイトにある本作のゲーム紹介ページでも「元祖ギャル投ゲー」という独特の呼称がつけられています。

健気なヒロイン・フルートにも容赦ないハーメルの姿
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