■「本当に武蔵がやってほしいようなプレーは、今日の試合にはなかった気がする」

―あそこは、あの二人のコンビネーション不足でしょうか?

大住「そうかな?僕はあの時に、武蔵のゴール前での読み、勘とか、準備が少し足りなかったな、というように感じた。鎌田のパスはあの角度しかなかったからね。それに対して武蔵はもう少し感じ取って、ステップを踏んでいれば、合わせられたんじゃないかなと思うけど。

 あの辺の得点感覚を、武蔵は磨かなければいけないし、そこが磨けなければ、あの選手はそこ止まりになるかもしれない」

後藤「武蔵という選手は、ああいうゴールを決める選手ではないんじゃないですか?」

大住「そうかもしれないけど、あれは決めないと」

後藤「それはそうだよ。けど、本当に武蔵がやってほしいようなプレーは、今日の試合にはなかった気がする」

大住「それは僕も感じた」

後藤「あとは鎌田が前に飛び出していく、そういった形ももう少し作るとか。形のバリエーションを、もっと作れるかなって気はする」

大住「いつも感じるんだけど。大迫がいればこうだとか、大迫がいなければ武蔵が大迫のプレーをしなければいけないとか、そんなことはないんだよね。

 大迫と武蔵はタイプの違う異質なプレーヤーだから、その資質を活かす攻撃をチームができなければいけない。だから、武蔵はたしかに足元には収まらないけど、収まらないなりに収めるというか。

 たとえば、持って何かをする、受けて何かをするのではなく、気の利いたヒールをやろうともしていたけど、そういうのではなく。本当にシンプルな落としだけを彼にはさせて、そこから前に行く力を活かすとか、そういうふうな大迫とは違う周りの使い方が必要だなと思った」

後藤「それが、今日の試合を見ていても全然なかったよね。なんのために武蔵があそこにいるのか。まあ、あそこに浅野がいたとしても結局同じことになるとは思うし」

大住「だからその辺が、最後のところに余裕がなくなって、お互いギリギリのことをやっていたとは思うんだけど。あそこに大迫がいるとき、武蔵や浅野がいるとき、あるいは南野と鎌田が2人でやっているとき、この辺のメンバーで色んなことをするために、もっと熟成していかなくてはなと思ったね」

後藤「本当は12月にも試合をやって、その辺のところに手を付けてほしいですね」

大住「そうだね。どんな風な練習をしているかは分からないけど、個性に合わせたスペシャル攻撃のメニューも、これからは入れていかないとなって感じはする」

後藤「10月11月の4試合を見ると、最初は守備をしっかりやろうという事から始まり、ボールを前に繋ぐことにいき、攻撃の形を作るところまでいって、最後のフィニッシュの段階まではまだ行かなかったんだろうなと。その順番は非常に分かりますよね」

大住「その最後が一番難しいんだけどね」

後藤「そうそう。釜本さえいれば全て解決するんですけどね」

―そうなるとチームは良いところまで来たという事ですね。

大住「前半で終わって、後半が霧で試合が中止になっていれば……」

後藤「ハハハ。そうだ、霧をもう少し濃くすれば良かったんだよ」

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