■10月、11月の予選の延期が決定

 だがアジア各国の感染状況はなかなか改善されず、8月12日、FIFAとAFCは10月と11月に予定されているワールドカップ予選を来年に延期することを発表する。日本を含むアジア各国の「入国制限」は続いており、国際親善試合も難しい。8月19日、私は「2020年は、日本代表の活動がなかった年になりそうだ」という記事を『東京新聞』に連載しているコラムに書いた。その記事は、「そしてまた、来年の活動も保証などされていない。先行きがまったく見えないなか、季節だけが流れていく」と、ペシミスティックな、そして多分に感傷的な言葉で締めくくられている。

 8月12日のFIFAとAFCの発表を聞いて、反町委員長はどう感じたのか。

「正直なところ、2つの思いがありました。ひとつはほっとしたこと。もうひとつは日程の不安です。日本代表が活動するということは、アウェーのチームが日本にくるということで、もし感染者が出たら大変だという思いがありました。海外はまだ感染状況が安定していませんでしたから。それと同時に、予定がどうなるのか、来年の6月に4試合はいるのか、それもまた延期されたらどうするのか、いくつもの不安がよぎりました」

 だが私が感傷的なコラムを書いていたころ、JFAはまさに「戦争状態」になっていた。反町技術委員長は語る。

「そんなとき、田嶋幸三会長から『ヨーロッパで活動しよう』という提案を聞き、少し仰天しました。ナイスアイデア!という思いとともに、いろいろなことを考えると、本当にうまくいくのかと、これもまた2つの思いが交錯していました」

※第2回に続く

PHOTO GALLERY 久保、南野ほかカメルーン戦でのサッカー日本代表
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