2ボランチが狙われて攻撃が停滞してしまうのは、ウイングバックの選手がそのラインに留まってボールを受け取らないといけなくなってしまうからだ。パスコースを失ったボランチが安全にボールを回して作り直すには、ウイングバックとセンターバックが加わって三角形を作らなければならない。しかしそのために両翼が低くなると、攻撃が機能しなくなる。それを解決するために、ディバラが下がってきてボールを受けた。

 ディバラはプレスに負けずにキープできるだけでなく、単独で剥がして前に進むことも、大きなサイドチェンジを蹴ることもできる。これによって、手詰まりになりかけたチームを再び動かすことが可能になった。

 また、そのディバラの動きは、可変システムのウイングバックという難しいポジションで、アタッカーとしての才能を発揮しなければならないフェデリコ・キエーザを見事に輝かせることにも繋がっていた。

 1点目は、サイドでボールを持ったキエーザがサポートにきたディバラに一旦ボールを預け、そのキープ力を信頼して一気にペナルティエリアに向かって走ったところに、ディバラから期待通りのヒールパスでリターンがきて勝負あり。ウイングバックが攻め上がったタイミングでボールを失えば大ピンチを招くことになるが、ディバラは失わない、という信頼が思い切りの良い攻めに繋がった。

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