先の2020-21シーズンの数字に代表戦を加えれば、欧州各国であれば+8試合(9月5日から始まったネーションズリーグ6試合と2つの親善試合)で、平均試合間隔は中2.77日になる。1週間に2試合以上のペースだ。そのペースで試合を続けていくことは、選手にとって負担が大きいだけではなく、チーム作りも難しくさせる。ひっきりなしにやってくる試合に向けてのリカバリーにほとんどの時間が使われ、戦術の大きな変更や土台からの作り直しをすることは困難だ。

 リバプールが昨シーズンのように圧倒的な成績を残せていないのは、そのためだ。

 守備の要であるフィルジル・ファン・ダイクが長期離脱していることに加えて、中盤でクリエイティブなプレーを担当するチアゴ・アルカンタラ(復帰済み)や今季加入して15試合で9ゴールを挙げたディオゴ・ジョタ、トレント・アレクサンダー=アーノルド、ジョー・ゴメスなど、多数の怪我人が止まることなく発生してなかなかベストな布陣で戦えないこともあるが、それ以上に相手の対抗策に対してチームをアップデートさせる時間をとれないことが原因だ。

 リバプールのやり方への対抗策は広まり、全体で引いて守ってくる相手やさらに激しいプレスでペースを握らせないようにする相手が増えた。それに対して選手個人のアイデアに頼るしかない現状を、ユルゲン・クロップ監督主導でチーム全体を変化させていくことで打開できるようにしたいが、ミニキャンプを張る日程的な余裕はなく、限られた少ない時間の中で完成しているチームを中途半端に変えるリスクよりも、現状維持のまま個人の能力で上回ることを選ぶしかない。

 そんな状況であっても2位につけている(1月15日の時点で)のは完成しているチームの強さだが、どこかで思い切った変化をしなければタイトル獲得には届かない。

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