レアルはサイドバックのフェルラン・メンディとルーカス・バスケスが好き放題に高い位置を取って数的有利を作り、中盤からシンプルに裏を狙うボールを供給し続けるだけで次々とチャンスを作り出した。両サイドを深く使う場面を何度も作ることで、中央で一気に裏を取ることも容易になる、というお手本通りの展開になった。アラべスはベンゼマにラインのど真ん中を抜け出されてゴールキーパーとの1vs1を作られても、何度オフサイドに助けられても、決して修正しなかった。セットプレーでカゼミロが決めていなくても、ずるずるといってしまう展開になることはなかった、と言い切れるほど、レアルにとって与しやすい相手であり続けた。

 しかも、攻撃面でも問題があった。2トップがレアルのセンターバックと対峙することを避けていたことで、ラファエル・ヴァランとエデル・ミリトンはゆったりと守るだけで十分だった。

 後半、3-0の状況にもかかわらずミリトンがイエローカードをもらうファウルで相手を止め、レアルはそのフリーキックから1点を失った。両サイドバックが上がりまくり、しかもセルヒオ・ラモスが不在のディフェンスラインは少しでもセンターバックを慌てさせればエラーが起こりやすい状態で、アラベスは前半から攻守共にそこを再三狙い続けるべきだったが自ら避けていた。とにかく、アラベスの全てが中途半端だった。

 サイドでも中央でも裏を狙い続けたレアルが4-1で完勝し、続いていた悪い流れはあまりにもあっさりと終わった。楽すぎたことで次戦に影響があるのではないかと心配になるほど、苦しまずに勝ててしまったが、今なによりも大切だったのは勝利という結果だ。

 質で圧倒的に上回る相手に対し、何も策を講じずに向かっていくことがいかに無謀か、という基本的なことと、選手の質が高ければシンプルに戦うだけで十分、ということを改めて教えてくれた、レアルのリハビリと言える試合だった。ジダン監督も、自宅でアラベスに感謝していることだろう。これで再び、アトレティコ・マドリードを追いかけることができる。


■試合結果

アラベス 1ー4 レアル・マドリード

■得点

15分 カゼミロ(レアル・マドリード)
41分 カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)
45+1分 エデン・アザール(レアル・マドリード)
59分 ホセル(アラベス)
70分 カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)

  1. 1
  2. 2
  3. 3