攻撃の際にククレジャを左に置いたまま中央のカルレス・アレニャとの間に久保を動かし、片側のサイドに2列目を集中させてセビージャを崩しにかかろうとした。

 さあここから、となるはずだったが、52分にキャプテンを務めるセンターバック、ジェネ・ダコナムがオカンポスの足首を踏みつけて一発退場になってしまった。

 10分も経たないうちにプランは崩壊し、数的不利となったヘタフェは久保を下げるしかなかった。
さらに、このプレーにヒートアップした両監督にもレッドカードが提示され、辛うじて保たれていた緊張は一気に崩壊してしまった。ヘタフェは耐えられるはずもなく3点を失って敗れた。

 ここからが勝負、というタイミングで終わってしまった久保にとって、前半のうちに守備とチームプレーで改善を見せただけで良しとすべき試合だった。

 数的不利となった時に真っ先に下げられる存在であることは、本来であれば十分に議論の対象になる。実際に守備がより良いものならば、あるいは、1人で攻撃を完遂するスペシャルな選手という評価があれば、下げられることはないだろう、と。

 しかし、この試合に関してはその議論も不要だろう。11人で耐えるのがやっとだったヘタフェにとって、後半に一瞬だけ見せたプランを10人で行うことは不可能だった。一縷の望みをかけたそのプランが崩れた時点で、選手のクオリティは関係なくなった。アラベス戦で3-4-2-1が機能せず、久保とアレニャを同時に下げて引き分け狙いにシフトしたのと同じだ。作戦が失敗に終われば大人しく引き分け狙い、というのが残留争いに巻き込まれているヘタフェの選択になる。

 万が一攻めることがあってもロングボールを蹴るしかない。久保が下がるのは当然だった。

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