■試合の肝になった森重のアンカー

 森重のアンカーは、ルヴァンカップ決勝で試合の肝になっていたことが記憶に新しい。江坂任を封じ、マイケル・オルンガへのボール供給をさせなかったことで東京にタイトルをもたらした。この試合でも清武や大久保嘉人に寄せて好きにさせなかったが、今回は特に展開力でチームを助けることになった。

 森重はミドルレンジの浮き球を織り交ぜてフィールドを幅広く使うようにボールを動かした。それだけでなく、相手の寄せを気にせずに溜めを作り、サイドバックの上がりがより効果的に行われるようになった。オマリと森重から攻撃のためのボールが供給されるようになったことで、前線の選手たちは前半よりもゴールに近い位置でプレーを開始できるようになった。推進力を得た東京は本来の姿を取り戻した。

 3点目を決めたことではなく、この部分で森重がこの試合のMVPだった。

 長谷川健太監督は開幕戦の戦い方から「シルバと東を入れ替えてスタートした」(試合後会見より)ものの、前半で判断を下した。「森重がアンカーポジションに入ってから、昨年のいいときのようにボールが動くようになり、後半はチャンスの数も多かった」と自身で言うほどのドンピシャな采配での見事な勝利となったが、今後の森重の起用については「CBとアンカーをやる形で進めていきたいと思っています」と語るにとどめた。新加入の青木拓矢が出番を待っているということだけでなく、ポジションを入れ替えて起用してみた東とシルバへの期待の大きさも窺える。

 チーム内競争を繰り広げつつ、試行と修正を1つの試合で両立させて結果も手に入れる。それは強いチームの勝ち方だ。悲願のリーグタイトル獲得に向けて、東京は良いスタートを切ることに成功した。


■試合結果

FC東京 3―2 セレッソ大阪

■得点

14分 大久保嘉人(セレッソ大阪)
54分 田川亨介(FC東京)
58分 原川力(セレッソ大阪)
71分 レアンドロ(FC東京)
90+3分 森重真人(FC東京)

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