■チームの起点になるのは、進化するアンカー・柴戸

 去年までの柴戸は、ダブルボランチの一角を務めることが多かったが、今シーズンが開幕してからのここまでのリーグ戦では、その起用は少なかった。しかし、1ボランチでプレーしたここ2試合では、攻守ともに強度の高いパフォーマンスを見せた。

 リカルド監督も鹿島戦の後、「(4-1-4-1のシステムは)以前から考えていた。大事なのはシステムだけでなく、選手の特徴や組み合わせ、それが噛み合うこと」とコメントしている。さらに、鹿島戦で得点を決めた明本は、「トレーニングで(リカルド)監督から、“背後、背後”と常に意識させられていた」とリカルド監督の指示を明かし、「自陣から相手を揺さぶったり、2人目・3人目が動き出すというシーンもできていたので良かったと思う」と、手ごたえを口にしていた。

 これまでは1トップで起用されていたFW杉本にボールを集める戦法だったが、2列目や3列目から動き出す選手がいなかったり、背後を狙う選手がいなかったりと、攻撃の連動性に課題が見られた。また、中盤の薄さが目立つ試合も多かったが、柴戸がそんなチームの弱点をカバーし、攻撃にアクセントを加えている。

 清水戦で先制点を決めた岩波も、柴戸の働きについて、「相手のDFを引き付けてくれるので、フリーになる選手が出てきて攻撃できる」と話し、4-1-4-1-のシステムについても「チームの形として手ごたえを感じる」と答えた。アンカーの柴戸の進化に注目したい。

 “リカルドサッカー”の光明が少しずつ見え始めた。次節の浦和の相手は、リカルド監督が去年までの4シーズン指揮を執った、徳島ヴォルティス

 満を持して、監督の“古巣”をホームで迎え撃つ。

 

■試合結果

清水エスパルス 0ー2 浦和レッズ

■得点

40分 岩波拓也(浦和レッズ)

90分 杉本健勇(浦和レッズ)

 

 

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