やる前から「できない」と言うのはダサい

設定資料より 高倉冠葉

――『輪るピングドラム』という作品は、悲劇的な状況をどう乗り越えるか、どう立ち直っていくかということを描いている作品でもあるかと思います。木村さんは、嫌なことや悲しいことがあったとき、どうやってそれを乗り越えますか。

 

僕は基本的に「無駄なことなんてない」というものの考え方をしていて、悲しいことや嫌なことがあったとしても、それは今の自分にとって必要なことなんだろうと。だからそういう出来事も無駄じゃない、ありがたいと思うようにしていて、そうすると結構前向きになれるんですよね。「悲しいけど、ありがとう」みたいな。

 

――とてもポジティブでタフな考え方ですね。

 

こう考えるに至るきっかけになった出来事は、はっきり覚えてます。高校生のとき、ある先生に目の敵にされていて、理不尽に怒られることが頻繁にあったんです。僕も腹が立ったのでやり返していたんですが、ある日、先生の説教を聞いているうちに「悔しいけど、先生の言う通りだな」と。理不尽に怒られるからやり返してやろうと思っていたのに、先生の言葉があまりにも的を射ていて、「なんだよ、結局俺のせいじゃん!」と思ったんです。あまりにも悔しくて、大泣きしながら帰って、その帰り道でいつもとは違う道に行ったんですよね。そのうちに川に出たので、橋の中程で欄干にもたれて、おいおい泣きながら川を眺めていたんですよ。で、川底に沈んでいた段ボールをしばらく見ていたら、それがヒラヒラ動き出して……なんとエイだったんです!

 

――それは驚きますね!

 

すごく大きいエイで、僕も驚いてめっちゃテンションが上がって(笑)。そこでよくよく考えたら、先生に怒られてなかったらこの道に来ることもなかったし、泣いてなかったら橋で立ち止まることもなかったな、先生ありがとう、みたいな気持ちになって(笑)。そこからは何事もそう考えるようになりました。

生きていると、いろいろなイベントが起こるじゃないですか。そのイベントがあるから人生が盛り上がるし、やっぱりそれはいいタイミングで起こるんですよね。それをネガティブに受け取って「こんなことが起きなければ良かったのに」と思うのは、自分の歩みを否定することになるのかなって。僕は、自分が今までやってきたことは無駄じゃなかったと捉えたいし、あまりにも落ち込むようなことなら二度目が起きないようにすればいい。あくまで前向きに考えていけば人生ハッピーになるんじゃないかなと思いますね。

 

――木村さんはどちらかというと「まずは動いてみる」というタイプですか。

 

そうですね、何でも自分でやらないと気が済まないタイプです。

 

――初めてのことでもためらわずに飛び込めたり?

 

余裕です! 飛び込んだ結果、向いてなかったということはありますが、やる前から「できない」と言うのはダサいと思うので、何でもとりあえず挑戦してみる。そういう性格です。だから最近はバラエティ番組などいろいろやらせていただいてますが、そういった声優さんがあまりやらなさそうなことでも、「やってみませんか」と言われたらひとつのご縁だと思うし、望まれるなら何でもトライしてみたいですね。

 

第3回は明日公開予定。お楽しみに!

 

『輪るピングドラム』関連記事はこちら

 

【プロフィール】
木村 昴 きむら・すばる
1990年6月29日生まれ、ドイツ出身。「天才劇団バカバッカ」座長。2005年に『ドラえもん』のジャイアン役として声優デビューし、『ヒプノシスマイク』山田一郎役、『呪術廻戦』東堂葵役、洋画の吹き替えなどで活躍。近年は俳優としても活動しており、「泣くな研修医」、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、「仮面ライダーリバイス」などに出演している。2020年からはバラエティ番組「おはスタ」メインMCを担当。

 

 

作品情報
劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』
[前編]君の列車は生存戦略 2022年4月29日(金)公開
[後編] 2022年公開予定

 

【STORY】
これは、ある兄弟妹と、突然やってきたペンギンと、この世界の過去と未来についての物語である―――。
病気の妹・陽毬の命を救うため、謎のペンギン帽の命令により「ピングドラム」を探す高倉家の双子の兄弟・冠葉と晶馬。自身の運命を信じて日記に書かれた出来事を実現しつづける荻野目苹果。新たな運命を導くため萃果の日記を手に入れようとする夏芽真砂子。大切な運命の人を取り戻すために目的を果たそうとする多蕗桂樹と時籠ゆり。
彼らはそれぞれの運命と大切な人の為に「ピングドラム」を追い続けたのだった。
あれから10年――
かつて運命を変える列車に乗り込んだ冠葉と晶馬が、運命の至る場所からひととき戻ってきた・・・。

 

【STAFF】
監督:幾原邦彦
副監督:武内宣之
原作:イクニチャウダー
キャラクター原案:星野リリィ
脚本:幾原邦彦・伊神貴世
キャラクターデザイン:西位輝実・川妻智美
色彩設計:辻田邦夫
美術:中村千恵子(スタジオ心)
アイコンデザイン:越阪部ワタル
CGディレクター: 越田祐史(スタジオポメロ)
VFX:田島太雄
撮影監督:荻原猛夫(グラフィニカ)
編集:黒澤雅之
音響監督:幾原邦彦・山田 陽
音響効果:三井友和
音楽:橋本由香利
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:ラパントラック
製作:ピングローブユニオン
配給:ムービック

 

【CAST】
高倉冠葉:木村 昴
高倉晶馬:木村良平
高倉陽毬:荒川美穂
荻野目苹果:三宅麻理恵
多蕗桂樹:石田 彰
時籠ゆり:能登麻美子
夏芽真砂子:堀江由衣
渡瀬眞悧:小泉 豊
荻野目桃果:豊崎愛生
プリンチュペンギン:上坂すみれ

 

【予告篇】https://https://youtu.be/gTSJPhPXdxQ
【特報】https://youtu.be/zZh75cznpWI

 

【劇場版公式サイト】https://penguindrum-movie.jp
【公式SNS】
アニメ公式Twitter:@penguindrum
幾原邦彦監督公式Twitter:@ikuni_noise
アニメ公式Instagram:@penguindrum10th

 

©イクニチャウダー/ピングループ ©2021 イクニチャウダー/ピングローブユニオン

 

 

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