「歌ってるのって、それに尽きるんです」

 

 

――では最後の曲、「Self Satisfaction」。これはシンガーソングライターとしても活躍する声優・豊永利行さんが楽曲提供された曲ですね。

 

このミニアルバム全体は物語になっているので、最後の曲は締めであり、オチなんですよ。じゃあオチを何にしよう?と考えたとき「『だいすき2』を作ろう!」と思ったんです。

 

――「だいすき」は、小野さんのファーストミニアルバム『ひねもす』ラストに収録されている楽曲ですね。遊び心に溢れた、楽しい一曲です。

 

「僕は多分、音楽活動15年を迎える今、あの原点に立ち返ってるんだ」と。それをプロデューサーに話したら乗ってくれて、じゃあ作りましょう、でも「だいすき 2022ver.」は面白くないよね、令和の「だいすき」作ろうぜ!と。そのとき僕とプロデューサーの頭に浮かんだ男が、とっしー(豊永利行)だったんです。

とっしーはライブのパフォーマンスが面白すぎるんですよ。歌の中に笑いが入ってくるし、MCでもコントを演じているような瞬間がある。でも歌い出すとグッと引き込まれる。彼が「Day you laugh」という楽曲を作ったときから、彼のシンガーソングライターとしての手腕を感じていたので、とっしーとなら一緒に歌う以上に、一緒に作りたいと思ったんです。面白いことが好きな彼なら、僕が思っている「面白いこと」を一伝えたら百わかってくれるだろうと。実際、打ち合わせで「『だいすき2』を作るんだ」と言ったら「わかりました!」と言ってくれて。

 

――話が早いですね(笑)。

 

「だいすき」は“大輔”に行き着くための歌だったけど、今回の「だいすき2」は“自分が大好き”ということを言いたいんだという話もしました。なぜそれを言いたいか。僕は自分が嫌いなんです。プライドも、自分に興味も持てない。だからこそ“自分が大好き”と、歌の中で自信を持って言いたかった。

今の時代って、そういうことを言いづらい時代なのかなと思うんです。SNSが発達して誰でも世界に発信できるけど、失敗や粗相をしたらすぐに批判される時代。だから歌の中でくらい自分を愛してあげたい。それを自信を持ってみんなに伝えたい。それでみんなが笑ってくれたら最高。「僕が歌ってるのって、それに尽きるんだよね」ととっしーに伝えたら、これが上がってきました。

 

――最後のところは延々セリフが続きますね。ライブではアドリブが入ったり掛け合いしたりするんだろうなと、ワクワクしながら聴きました。

 

これは以前、鳥海浩輔さんがライブで「愛のささやきを間奏で言うんだけど、大事なところを言う前に歌に戻る」というのをやっていまして、それがめちゃくちゃ面白かったんです。それをとっしーに話したら「いいですね!」。何しろ一を聞いて百を知る男なので(笑)。

 

――さすがですね(笑)。途中で「まだ!?」とツッコみたくなりました。

 

絶妙ですよね(笑)。本当にとっしーに頼んで良かったなと思います。

 

――この「Prologue」は、みんなが盛り上がっている姿を見て喜ぶホールの支配人が主人公です。この「みんなが楽しそうで嬉しい」という感覚は、今日お話しいただいた小野さんご自身と重なりますね。

 

この支配人のモデルは、映画『SING シング』のバスター・ムーンなんです。いろんな人が集まってきて、みんなが笑ってる感じがすごくいいなと。理屈じゃない多幸感を感じる場所を舞台にしたかったんですよね。そしてここで登場する「伝説のシンガー」が、「Sounds of Love」の主人公。彼はこのホールで育ててもらった。そんな構成を青山先生が作ってくれました。

 

――第1回で登場した本作のモチーフ『鏡のなかの鏡』のように、最後の話が最初に繋がるんですね。

 

このミニアルバムは、きちんと仕事をしてきたことへのご褒美

 

――小野さんにとってこのミニアルバムは、お好きな表現者の方々とのコラボレーションづくしですから、制作はとても楽しかったのでは?

 

ご褒美をもらっている感じがしましたね。声優として20年、音楽活動を始めて15年、その中で生まれた縁を繋いで作ったミニアルバムなので、きちんと仕事をしてきたことへのご褒美という気がするんです。声優やってて良かったな、音楽やってて良かったなと思いますね。

 

――今回のミニアルバムは小野さんのキャリアの中で、大きなポイントのひとつになりそうですね。

 

そうですね。音楽活動は、本業の声優を頑張った結果、「これもやっていいよ」と言ってもらえているご褒美という感覚だったんです。でも今回は、声優としての縁や自分の人生をすべて凝縮した感じになったので、これまでとはまた違った特別感があります。

 

――二つの活動が融合した成果ですね。では声優でありアーティストである小野さんの、今後の展望をお聞かせください。

 

やり切った感がありますね、今は。考えてみると、僕は人から与えていただくことで、自分の表現をしてきました。だからこれから先は、自分が人に何かを与えていきたい。もらってばっかりなので、声の芝居や歌、声でできることすべてを誰かに渡していきたいですね。

 

【PROFILE】
小野大輔  おの・だいすけ

1978年生まれ、高知県出身。2002年より声優として活動を始め、2007年にミニアルバム『ひねもす』にて音楽活動も開始。自身のソロ活動だけでなく、森久保祥太郎、鈴村健一、寺島拓篤とともに「Original Entertainment Paradise“おれパラ”」(2008年~)を毎年開催するなど、幅広く活躍。声優としての代表作に、『ジョジョの奇妙な冒険』空条承太郎役、『おそ松さん』松野十四松役、『進撃の巨人』エルヴィン・スミス、『GOTHAM/ゴッサム』ジェームズ “ジム”・ゴードン役、『Glee』フィン・ハドソン役、など。

 

 

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<作品情報>
『Sounds of Love』/小野大輔
2022年10月19日(水)発売

通常盤(LACA-25015):価格2,750円(税込)
限定盤(LACA-35015):価格4,180円(税込)
発売元:バンダイナムコミュージックライブ
販売元:バンダイナムコフィルムワークス

各収録曲はCD発売に先がけ先行配信中!

 

【INDEX】
01. Prologue: Sounds of Love

02. Sounds of Love
作詞・作曲:酒井雄二 編曲:Carlos K.
配信URL:https://lnk.to/LZC-2184
LYRIC VIDEO URL:https://www.youtube.com/watch?v=DV3GjrJHE8o&t=4s

03. Prologue: DING DONG

04. DING DONG

作詞:村上てつや 作曲:村上てつや・SWING-O 編曲:SWING-O
音楽配信URL:https://lnk.to/LZC-2185
LYRIC VIDEO URL:https://www.youtube.com/watch?v=7sElfoiVJKw

05. Prologue: また会う時は

06. また会う時は (with 上田麗奈)

作詞・作曲・編曲:コトリンゴ
音楽配信URL:https://lnk.to/LZC-2186
LYRIC VIDEO URL:https://youtu.be/epL-IE9PSts

07. Prologue: SUPER SHOCK

08. SUPER SHOCK (with 羽多野 渉)

作詞・作曲:鈴木エレカ, JOE 編曲:JOE
LYRIC VIDEO URL:https://youtu.be/l-HMHoLb07Y

09. Prologue: Self Satisfaction

10. Self Satisfaction

作詞・作曲:豊永利行 編曲:田中マッシュ
LYRIC VIDEO URL:https://youtu.be/4_hFriI2nic

 

【INFOMATION】
・各楽曲にはプロローグとして『Sounds of Love』の世界を表現した小野大輔による朗読劇を収録!
・朗読劇は、『木曜日にはココアを』等の作品で知られる小説家、青山美智子が執筆!
・限定盤には01「Sounds of Love」のMusic Video+メイキング、各楽曲のLyric Videoを収録!
※収録トラック名は予告なく変更になる場合がございます

 

【小野大輔 アーティスト公式Twitter】
https://twitter.com/onoDofficial
【小野大輔 Official Artist Channel】
https://www.youtube.com/channel/UCHuKRxu3ILwezuNBjpxkIxg

 

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