©SQUARE ENIX / サボテン君観察組合
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30年以上にわたって愛されているRPG「聖剣伝説」シリーズが初のアニメ化を果たし、現在『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』として放送中。原作となったのは1999年に発売され、昨年HDリマスター版も登場したシリーズ第4作目『聖剣伝説 Legend of Mana(LoM)』だ。このゲームの特徴は、多くのRPGのように1本の大きなシナリオを辿るのではなく、全68話の独立した物語が存在するという構造。その中でも人気の高いシナリオ「宝石泥棒編」が、今回のアニメ版のストーリーとなっている。

第1回・第2回と本作の魅力をお届けしてきた主人公・シャイロ役の島﨑信長インタビューも、いよいよ最終回。本作の見どころや島﨑が芝居に向き合う姿勢について、今回も熱く語ってもらった。(全3回)

インタビュー第1回第2回はこちら

 

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現場が楽しいし、現場がモチベーション

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――島﨑さんは今、声優のお仕事のどんなところに楽しさを感じていらっしゃいますか。

 

僕が楽しいのは、声のお芝居ですね。これはずっと変わってないです。やっぱり声優なので、声の表現やお芝居をするのが楽しいし、現場でみんなと一緒にものを作っているときが一番楽しい。そのもの作りの中で、役をお預かりして背負わせてもらって、声をやらせてもらえることが嬉しいです。

あと楽しいのは、人と絡めるとき。今はコロナ禍なので個別での収録も多いのですが、どうしてもパーツの提供になってしまいがちなんですよ。一緒の収録なら会話ができるからお芝居になるんですけど……。そこは悩みどころではありますが、でもやっぱり僕は現場が楽しいし、現場がモチベーションですね。

 

――島﨑さんは本当にたくさんの役柄を演じてらっしゃいますが、「前の役と似ちゃったな」というようなことは起きませんか。一つひとつの役に向き合うというのは、実はすごく難しいことではないかと思うのですが。

 

うーん、そこは似ちゃってもいいと思うんですよ。例えば、音としては似た音の役があるとするじゃないですか。でもそれって、その作品を観ている人には関係ないことなんですよね。僕に注目してくださる方は、もしかしたら「あの役と似てるな」と思うかもしれませんが、一つひとつの作品は別ものだから、観ている人にとっては一期一会というか。だから「似るから変えよう」ということは基本的にはしてないです。音として似ることはあっても、それぞれ違う人間なので、ちゃんと違う人になるんですよね。

クールなライバルなどといった役どころのポジション、身長・体重やその他の表向きなプロフィールすべてが一緒だったとしても、作品ごとにその人物が生きている世界も生きてきたバックボーンも何もかも違うわけじゃないですか。ストーリーの流れがちょっと違ったり、掛け合う相手や周りのバランスがちょっと違ったりするだけでも、全然違うものになるんです。

例えば18歳の主人公を演じるのが大先輩のベテラン声優さんで、僕が同級生だとしますよね。そうしたら、そのベテランさんとのバランスで演じるじゃないですか。でもまったく同じ主人公を現役高校生が演じるとしたら、今度はその子に合わせたバランスになります。それだけで全然違いません?

 

――確かに、おっしゃる通りですね。

 

芝居の掛け合いも変わるし、聞こえ方も全然変わってくると思うんですよ。そのバランスは、その世界の中で整っていれば良くて、どっちが正解というものではない。ベテランさんが演じるとしても、現役高校生が演じるとしても、「この世界の18歳はこの感じです」と定義付けられるので、僕はそれとどうバランスを取るかを考えていきますね。現役高校生が等身大で演じるなら、どうやったら等身大的に聞こえるかを分析するし、ベテランさんが演じるなら、どうしたらこの深みを出せるようになるかを研究するし。僕の中では1個1個、全然違うんです。

視聴者の方には「似てるよ」と言われることもあるかもしれません(笑)。でもそれぞれ役の中身は全然違いますから。同じクール系の役だって、クールに振る舞ってる人もいれば、表現が下手でそう見えるだけの人もいるし、クールなつもりだけどなりきれてない人もいるし、全然違うじゃないですか。だから僕はどの役も「似てるな」とは思わずに演じてますね。

 

――そこはやはり、チームで作るものならではですね。アニメーションは本当に多くの人の手で作り上げるものですから。

 

そうですね、チームで作るというのは大きいと思います。僕はやっぱり、みんなで作るのが好きなんですよ。自分一人で作るものだったら、僕は気持ちが持たないかもしれませんね。

 

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