現在、絶賛公開中の『劇場版 呪術廻戦 0』。2018年から連載が開始され、人間の負の感情から生まれる呪いと、それを呪術で祓う呪術師との闘いを描く漫画『呪術廻戦』は、シリーズ累計発行部数は6000万部を突破している。同作のテレビアニメ版から監督を務める朴 性厚氏の独占インタビューをお届けしたい。

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キャラクターがどういう考えで戦いに臨み、どんな表情を見せるのかを大切にしました

 

Q.昨年、劇場公開された本作ですが、ついに完成を迎えたいまの思いを教えてください。

「このお話は自分含めて、アニメスタッフ全員がいちばん最初に作ることも考えたエピソードなんです。それが劇場版という形で作れたのがすごく嬉しかったです」

 

Q.今回、乙骨憂太というキャラクターが主人公になり、テレビ版の主人公・虎杖悠仁たちが登場する一年前の呪術高等専門学校(呪術高専)が物語の舞台です。やがて、乙骨や最強の呪術師・五条 悟と、呪詛師・夏油 傑らとの壮絶な闘いが勃発していきますが、監督が映画化のうえで大切にされたポイントは?

「まず、呪術高専の変わらなさ、みたいなところにはこだっていますね。劇場版は、テレビ版より前の物語ですが、呪術高専にいたキャラクターが成長していくというお話ではあっても、五条の存在感や、青春感のある空気自体を変えてはいけないと思っていました。呪術高専という舞台もキャラクターなんだよ、と。あとはバトルシーンなど、映像もろもろ含めて、随所に劇場版ならではの細かなこだわりを持って作りました」

 

Q.バトルシーンではどんなことを大切にされましたか。

「僕はただ戦うことだけを描いても、観客や視聴者に伝わらないし、おもしろくないと思うんですよね。それぞれのキャラクターがなぜ戦うのか、どういう性格なのか、それを大切にバトルを描こうとテレビシリーズの頃から思っていました。このキャラクターはどういう考えで戦いに臨み、どんな表情を見せるのかというところですね。そのうえで技術の問題、たとえば、カメラをどこに置くのか、どう動かすのか、どんなテンポでカットを割るのかということを考えていきました」

緒方さんの乙骨が号泣する芝居と、役への解釈が素晴らしかったです

 

Q.本作の主人公となる乙骨憂太というキャラクターの魅力を教えてください。

「乙骨というのは、すごく素直な少年なんです。ある強力な呪い『祈本里香』を宿しているがために、他人を傷つけてはいけないという気持ちがとにかく強いんです。彼が呪術高専で禪院真希たち1年生と出会って、初めて自分の想いを口にしていくのですが、その繊細な感情は意識して演出しました。孤独だった彼が、仲間たちを受け入れていくことで、その繋がりを大切にして頑張っていく。そういう素直なところが魅力的なキャラクターだと思います」

 

Q.声優を担当したのは緒方恵美さんです。実際、乙骨役のお芝居をご覧になった印象はいかがでしたか。

「まず、緒方恵美さんは原作を深く読み込まれていて、そのキャラクターの解釈がまたすごいんです。収録の現場では、ここはこういう感じでどうですか、こういう感情ですよねというキャッチボールをスタッフと行っていたのも印象的でした。そして、ご自身が準備をされたものもありつつも、常に僕らとコミュニケーションを重ねて、役を自分のものにされていくんです。緒方さんの真摯な姿にこちらも刺激を受けて、乙骨のキャラクター像だけでなく、作品作りの上でいろいろ膨らんでいったところがありますね。アフレコ現場をご一緒して大変勉強になりました」

 

Q.緒方さんの演技のすごさを感じたシーンはありますか。

「乙骨が号泣するシーンがあるのですが、僕の中では彼が子どもみたいに泣くイメージだったんです。緒方さんは、乙骨と里香という彼の恋人との過ごした月日、彼女の死、自らの呪いを含めて、その関係性を解釈して、言葉が出ない号泣の仕方を演じてくださったんですね。それが本当に素晴らしくて驚きました。役者としての細部のお芝居への追求がすごいんです。緒方さんにしかできないアプローチを感じましたし、言葉だけではない、心から生まれる演技という部分で役を作ってこられた方ならではのパワーを感じました」

 

次回は監督が影響を受けたアニメや映画のお話もお聞きしました。ぜひ、次回もチェックを!

 

『劇場版 呪術廻戦 0』

全国公開中

原作:「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)

監督:朴 性厚

脚本:瀬古浩司

キャラクターデザイン:平松禎史

声の出演:緒方恵美 花澤香菜 小松未可子 内山昂輝 関 智一 中村悠一 櫻井孝宏

配給:東宝

© 2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 © 芥見下々/集英社

https://jujutsukaisen-movie.jp/

 

PROFILE
パクソンフ

韓国出身、アニメーター、アニメーション監督。大学卒業後に、スタジオコメットに入社。以降、現在までアニメーターとして原画、作画監督などを務めている。主な監督作に『牙狼〈GARO〉-VANISHING LINE-』(17年)、『THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール』(20年)、『呪術廻戦』(20年)。