「ベルガモに女神は微笑むか?」~欧州CLに挑む大躍進のアタランタ~(1)の画像
アタランタを率いるジャン=ピエロ・ガスペリーニ監督 写真:AP/アフロ
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欧州サッカーが8月にクライマックスを迎えている。UEFAチャンピオズリーグは、準々決勝が12日から15日まで、準決勝は18日と19日、決勝は23日にポルトガルで集中開催される。注目したいのは、新型コロナウィルス感染拡大のイタリアにおける中心地だったベルガモを本拠地とする中堅クラブのアタランタだ。「サッカーは単なるマネーゲームではない」ことを証明すべく、12日に世界的メガクラブのパリ・サンジェルマン(フランス)に立ちむかう。

■風光明媚な小都市を本拠とする育成型の名クラブ

 イタリアのセリエAは、8月最初の週末に最終節を終えた。

 すでにユベントスが優勝(9連覇!)を決めており、またチャンピオンズリーグ(CL)圏内の4チームも確定していたので、残留・降格がかかるチーム以外は比較的のんびりとした雰囲気の最終節となった。そんな中で注目は2位のインテルと3位のアタランタの直接対決だったが、アウェーのインテルが勝って2位を確保。首位ユベントスとは勝点1の差に肉薄した。「常勝軍団」ユベントスの基礎を築いた名将アントニオ・コンテが監督に就任したことで、インテルは復活を遂げたようだ。

 一方、昨シーズン、クラブ史上最高の3位に入って初めてCL出場権を獲得して人々を驚かせたアタランタは、今シーズンも同じ3位という好成績を残すことに成功した。それも、シーズンを通じての総得点数がリーグ最高の98(得点数2位はインテルの79)。得失点差は+50というのだから恐れ入る。つまり、イタリアの中でも中堅クラブの一つだったはずのアタランタが、非常に魅力的かつ攻撃的なサッカーで2シーズン連続で3位に食い込んだのだ。

 アタランタは、1960年代にコッパ・イタリアで優勝したことはあるが、これまでセリエAとセリエBを行ったり来たりする地方クラブ(プロヴィンチャーレ)の一つに過ぎなかった。最近では2009/10シーズンにセリエBに降格。1シーズンでセリエAに戻ってきはしたものの、その後も11位から15位くらいの中位の成績に終わっていた。「とりあえず残留できれば成功」といったクラブだったのだ。

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