■タレントゲームながら小学生にトラウマを植えつけた!?

ファミコン『さんまの名探偵』より

 作中に多彩なミニゲームが用意されている点も魅力のひとつ。上から降ってくる障害物を避けながらアイテムを入手するアクションゲームや、競艇場でやすし師匠とボートレース対決をする連打ゲーム、逃げ回る紳助さんを捕まえる追跡ゲーム、ナムコの名作『ギャラクシアン』風のシューティングゲーム『ギャラクシガニ』など、ストーリー進行上必要なものから、まったく無関係なものまで存在しました。

 そんな個性的な推理アドベンチャー『さんまの名探偵』ですが、当時小学生だった自分にとっては“怖かった”という印象が残っています。冒頭の桂文珍が殺されるシーンでは「ギャー」と悲鳴を挙げた文珍師匠の表情や、そのあと血の流れるときの不気味な効果音などは、いまだにしっかりと覚えているほどです。

子ども心に強烈なインパクトを与えた桂文珍師匠が殺されるオープニングシーン

 さらにゲームの途中にも、とある殺人事件が発生する場面があるのですが、このときの衝撃的なストーリー展開や、バッドエンドで終わってしまう選択肢が存在するなど、何かと強烈なインパクトをプレイヤーに与えてくれたゲームです。

 芸能人のゲームと言えば『たけしの挑戦状』のような“バカゲー”のイメージが強かったので、そのギャップが大きかったのかもしれませんが、周囲にも『さんまの名探偵』がトラウマだと語るプレイヤーは案外多いですね。

 そんな印象があるものの『さんまの名探偵』はよく出来たゲームだったと思います。謎解き自体は小学生でもクリアできる“程よい”レベルでしたし、ストーリーの進行に関係のないコマンドを選んだときの反応もコミカルで、芸人たちの会話を楽しみながらゲームを進めることができました。

人気芸人がたくさん登場するゲームは新鮮だった!

 ちなみに余談ですが明石家さんまさんを始めとする出演者たちは、所属する吉本興行からこのゲームのことを知らされていなかったというエピソードをさんまさん本人が明かしています。今ではとても考えられない話ですね。

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