■女性への寄り添い方が独特

 これだけ書くと生理ちゃんはただの嫌なやつだと思われてしまうかもしれませんが、そんなことはないんです。むしろ女子に寄り添っている。そこの寄り添い方こそ、この漫画が面白いところ。短編集なので世代も悩みも違ういろいろな主人公のストーリーにつながっていくわけです。妊活中の夫婦だったり、好きな男性のために過剰なダイエットをしてしまう女性だったり、楽しみにしていた旅行初日に生理が来てしまったカップルを女性目線、男性目線に分けて俯瞰的に見ていく話などetc……。

 これがマジで素敵なお話ばかり。少し大人っぽくてオシャレなんだけどあー分かるこの感じっていう身近さも感じる話が多くて、こう、なんて言ったらいいのかな、駅で言ったら二子玉川的な? よけい分かりづらくなりましたね、とにかく面白いんです。絵のタッチがフワッとしているのが、またかわいらしいんですよね。

 生理というテーマをガチっとした絵で描くと多分すごくリアル感が出てしまうと思うので。そしてこの漫画の作者はなんと男性。読めば分かるのですが、めちゃくちゃ勉強されているし、僕の勝手な予想ですが、おそらくすごくいろんな人に取材されていると思うんです。だから学校で習う堅苦しい生理という知識より、人によってこんなに差があるんだとか、生理痛がひどいときにされたくないこと、逆にされたら嬉しいこと、あったら嬉しいものなどリアルな声が聞こえてくる。これは本当に男子的には目から鱗でした。相手のことを思ってやったことが逆効果になることもあるんだなと。

 すごく刺さったセリフが、

「知らないことには、思いやるなんてできない」

 本当ですね。僕はこの漫画でいろいろなことが知れてよかったです。これは全男子読んどいたほうがいい! もちろん女子が読んでも絶対に楽しめる素敵な作品ですよ。

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