■年下男子カン・テオが勝ち気令嬢の心揺らす『それでも僕らは走り続ける

 カン・テオ出演のお薦め作、1作目はNetflixシリーズ『それでも僕らは走り続ける』(2020年)。主人公は、政治家と女優という著名な両親の下で決められた人生のコースを迷うこともなく走り続けてきた陸上界のスター選手ソンギョム(イム・シワン)と、施設で育ち自分の力で人生を切り開いてきた映画字幕翻訳家のミジュ(シン・セギョン)。異なる世界で生きてきた2人が出会い、互いの生き方に影響を与えていく成長ロマンスだ。

 同作でカン・テオが演じるのは、スポーツエージェンシー代表にして財閥令嬢のダナ(少女時代スヨン)に絵の才を買われる美大生ヨンファ。路上で絵を描くことを愛し、移動手段は自転車、素朴だが相手が誰だろうと物怖じしないマイペースさは、『ボーイフレンド』のパク・ボゴムに近いものがある。

 ここに、カン・テオ特有のふてぶてしさ(生意気さ)が加わり、独特の“若年寄風”年下男子になっているのがおもしろい。このおおらか年下男子と、狙ったものは自ら掴みにいく“ハンター”タイプのダナという真逆タイプの2人が繰り広げる“恋の駆け引き”は、主人公カップル以上の胸キュン度で、目が離せなくなる。世間知らずのお坊ちゃま主人公シワンとの、どちらが年上か分からない凸凹ブロマンスも愉快だ。

Netflixシリーズ『それでも僕らは走り続ける」独占配信中
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■時代劇『ノクドゥ伝〜花に降る月明り〜』では驚きの素性をもつ貴公子役に

『ノクドゥ伝〜花に降る月明り〜』は『雲が描いた月明り』の脚本家と『サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』の演出家がタッグを組んだ爆笑、胸キュンてんこ盛りの時代劇ロマンス。朝鮮王朝第15代王・光海君の治世下を舞台に、出自の秘密を隠すため未亡人を装う“女装男子”ノクドゥ(チャン・ドンユン)と、密かに王への復讐を狙う妓生見習いドンジュ(キム・ソヒョン)という、ワケアリの恋模様を描く。

 カン・テオは、元婚約者であるヒロイン、ドンジュを想い、女装主人公ノクドゥを敵対視する二番手男子ユルム役に。料理上手で悠々自適な生活を送る高貴なお方で、ドンジュのために手の込んだ料理をつくるもいつもノクドゥに邪魔されてしまう、かわいそキャラ。ドンジュを自分の馬に乗せようとするも、なぜかノクドゥと2人乗りするハメになったり、ノクドゥにまさかの唇を奪われるなど、恋の三角関係のはずが妙な巻き込まれ方をして、笑いを誘う。

 一転して後半は、王宮を揺るがすほどの大物だったことが判明し、ダークホースとしての存在感を見せる。カン・テオを振り幅に唸らされること必至だ。