『サムバディ』と『コネクト』は、そうした実話を元にした連続殺人ドラマではないが、これまでの作品の恐怖のポイントをうまく取り入れていると思う。

 連続殺人ドラマにも“韓ドラあるある”がいろいろあり、例えば、一面に広がるススキ野原、人気のない薄暗い路地や古びた商店街、地下室、斧、結束バンド、口笛、サイコパス(だいたい『殺人の追憶』が元になっているような……)などがあるが、今ではそれらが劇中に少しでも登場すると、自動的に心の中の恐怖のスイッチが入ってしまう。

 犯人が死体や殺す対象をズリズリと引きずるのも、そんな"あるある"のひとつだが、社会の少数派に属する女性3人と連続殺人犯の男にスポットを当てた『サムバディ』は、ちょっとした違いがプラスされていた。

 あのモデル出身のイケメン俳優キム・ヨングァンが大きなメガネをかけて連続殺人犯役を怪演し、壁にこすりつけるように人を引きずるのだ。引きずりシーンは、引きずる音も恐怖感を掻き立てるが、壁の場合はまた違った音がして、恐怖度Maxである。

『サムバディ』画像出典:Netflix Korea公式ツイッター(@NetflixKR)

 また、『コネクト』は、“コネクト”という不死身の新人類と連続殺人犯の闘いが描かれる、三池崇史監督が日本人映画監督として初めて演出した韓国ドラマだ。全般的には日本の劇画っぽい雰囲気なのだが、この作品でもそこここに連続殺人ドラマあるあるを見ることができる。

 物語の始まりにチョン・ヘイン扮する主人公が連れ去られるのは薄暗い商店街だし、コ・ギョンピョ演じる連続殺人犯(なぜかこちらもメガネをかけてる!)は死体置き場のひとつとしてススキ野原を選ぶ。原作が韓国のウェブトゥーンで、スタッフが韓国人だからだろうか?

『コネクト』画像出典:チョン・ヘイン公式インスタグラム(@holyhaein)

『サムバディ』はこれまでの韓ドラでは見られなかった激しい性描写があり、『コネクト』はかなりグロい表現方法で視聴者を戦慄させる。観るのがつらいという人もいそうだが、残虐性を描きながら、人の孤独や悲しみを浮かび上がらせるのも、韓国の連続殺人ドラマあるあるのひとつともいえる。そのあたりに視点を移して観てみると、また違った想いに至れるかもしれない。