韓国ドラマのサスペンスでは、連続殺人が扱われることがとにかく多い。個人的にそうした作品群を“連続殺人ドラマ”(そのまま!)と勝手にカテゴライズしているが、そこに新たに、チョン・ヘイン主演『コネクト』とキム・ヨングァン主演『サムバディ』が加わった。

 韓国ドラマに連続殺人ドラマがどれぐらいあるかというと、拙著『韓ドラ語辞典』で思いつくかぎり羅列して挙げてみたところ、34作あった。上記の2作品、そのほかの今年の作品、うっかり抜けていた作品を含めると、正確には40作。ほかにもヌケがあるはずなので、もっと多いと思う。

■韓ドラあるある「連続殺人」をモチーフにした映画やドラマ

 韓国には、とても有名な連続殺人事件が2つある。ひとつは、1986年から1991年の間に女性10人が殺害され、2019年に釜山刑務所に服役中の男が真犯人だと判明し話題になった「華城連続殺人事件」。もうひとつは、2003年から2004年に発生した「ソウル20人連続殺人事件」だ。

 前者の華城連続殺人事件を題材にしたポン・ジュノ監督の映画『殺人の追憶』は、2003年に大ヒット。2011年頃から地上波ドラマよりも自由な表現が可能なケーブルドラマの制作が活発になると、その影響を受けたような連続殺人ドラマが次々に制作された。『カプトンイ 真実を追う者たち』『シグナル』『愛の迷宮-トンネル-』『ライフ・オン・マーズ』などは、華城連続殺人事件をモチーフにした事件が登場する。

 一方のソウル20人連続殺人事件を扱った作品としては、2008年にナ・ホンジン監督の映画『チェイサー』が大ヒットしている。最近ではイ・ジェフン主演『復讐代行人~模範タクシー~』やキム・ナムギル主演『悪の心を読む者たち』といった地上波ドラマでも描かれた(事件のドキュメンタリー『レインコートキラー ソウル20人連続殺人事件』もNetflixで視聴できる)。

 つまりは、韓国社会を震撼させた猟奇的な連続殺人事件と、それを扱った大ヒット映画、そしてケーブルドラマの台頭により、連続殺人ドラマが増加したのかもしれないが、それにしてもちょっと多い気が。