●『悪の心を読む者たち』
誰もが楽しめるエンターテインメントに徹した『熱血司祭』から一転、キム・ナムギルの真骨頂でもある“抑えた演技”が光る社会派ドラマ。1990年代後半の韓国を舞台に、凶悪事件の解決に奔走する警察の姿を実録タッチで描く。
キム・ナムギルが演じたのは、共感力を買われ、犯罪心理を分析するために凶悪犯罪者との対話を繰り返すようになる韓国初のプロファイラー、シン・ハヨン。シリアルキラーたちの「悪の心」を知ることで自身の心を蝕まれるハウンの苦しみ、痛みを体現したキム・ナムギルは、人気作が揃った2022年SBS演技大賞で、見事、大賞を受賞した。
実際の事件をモチーフにした凄惨な事件に驚愕するとともに、これ以上被害者を増やさないために奔走するハヨンら警察チームの姿に自然と力が入る。犯人の心に同化し、ありえない行動に陥るハヨンの空虚な瞳、被害者の痛みを感じて苦しむ姿に心が痛むが、その一挙手一投足から目をそらすことができなくなる、そんな作品だ。