昨年(2022年)、韓国滞在中に目にして気になっていたヒューマンドラマを、ようやく一気に見ることができた。南北の離散家族問題をテーマにした『カーテンコール』だ。

 朝鮮戦争の混乱の中、北朝鮮からの避難船に乗ったクムスン(ハ・ジウォンコ・ドゥシム)は、幼子を抱いた夫と生き別れになってしまう。

 1人韓国に到着後クッパを売って生計を立て、やがてホテルチェーン「楽園」の会長にまで登り詰めるが、病のため余命三ヶ月に。

 幼い時に一度会ったきりの北にいる孫に一目会いたいというクムスン。その思いを知った会長補佐(ソン・ドンイル)は、孫の行方を調査する。しかし、その孫がならず者だとわかり、舞台役者のジェホン(カン・ハヌル)とユンヒ(チョン・ジソ)に、大金と引き換えに孫夫婦の代役になるよう話を持ちかける。

 血の繋がりはなくても、余命わずかなクムスンの幸せのために誠心誠意「孫」を演じるジェホンに心打たれた。

椿の花咲く頃』で母子を演じたコ・ドゥシムとカン・ハヌルが、このドラマでは祖母とニセの孫という設定なのも面白い。北朝鮮訛りのセリフの応酬に役者魂を見せつけられた。

■カン・ハヌル出演の感動作『カーテンコール』に登場する蔚山

 ドラマには蔚山(ウルサン)で撮影されたシーンがたびたび登場する。蔚山は韓国南東部にある重工業都市。その一方で、自然との調和を楽しめる場所もある。それは、街の中心部を流れる太和江(テファガン)の川沿いに作られた太和江国家庭園。サイクリングロードも整備され、市民の憩いの場となっている。

自然との調和を楽しめる太和江国家庭園

『カーテンコール』第1話でバイト中のジェホンが、自転車でこの庭園の前を通り過ぎるシーンにさりげなく登場した。

 また、庭園の中には4キロにわたる十里大森(シムニデスプ)という竹林庭園がある。

ドラマの感動的シーンが撮影された竹林「十里大森」

 第13話で「雰囲気が故郷に似ているから、おばあちゃんを連れてきた」と、ジェホンがクムスンの車椅子を押しながら竹林の道を歩くシーンに出てきた。自ら孫に会いに行こうとしなかったことを詫びるクムスン。故郷に似た場所を目にしながら「お前がどんな人たちと出会ってそんなに優しく育ったのか、お前の人生を一緒に歩めた気がして嬉しいんだよ」と語る場面は感動的だった。