キラキラした若手スターも素敵だが、『剣の詩』のキム・ナムギルや『私の解放日誌』のソン・ソックなど、画面を凌駕する存在感、じわじわとあとを引くカッコよさを醸す大人の俳優たちの活躍が、昨今の韓国ドラマのトレンドだ。

 その1人が、多くの韓流ファンから「2023年の最高傑作」と評されているディズニープラス スターオリジナル作品『ムービング』のチョ・インソンだ。国家情報院安全企画部のエリートスパイとして活躍した超能力者たちと、彼らの血を引いた子どもたちによるアクションヒーローズドラマで、チョ・インソンは飛行能力を持つ伝説のブラック要員ドゥシクを演じている。

■大ヒット中『ムービング』でチョ・インソンの"渋熟"魅力を再発見!

 チョ・インソンは1981年7月28日生まれで、現在42歳(2023年10月現在)。広告モデルとしてデビューし、当時若手俳優の登竜門とされた学園ドラマ『学校』シリーズで注目されて以降、いまなお一線で活躍するトップスターだ。

 187cmの長身にすらりと長い手脚、立っているだけでスマートで絵になる男だが、代表作『バリでの出来事』(2013年)で演じた御曹司チョン・ジェミンの泣きの演技は、いまだ語り継がれるほどの強い印象を残している“感情型”俳優でもある。

 実際、『その冬、風が吹く』や『大丈夫、愛だ』でタッグを組んだ名脚本家ノ・ヒギョンから、「頭ではなく心で演じる俳優。無謀なほど熱心に」と称されたほどだ。

『ムービング』でも、銃を手にしたスタイリッシュなアクションはもちろん、自分と同じく特殊能力者で人並み外れた五感を持つミヒョン(ハン・ヒョジュ)との出会いと愛を育む過程、生まれてきた我が子に向けた情愛、そして別れ……と、孤独に生きてきた男の純情を、硬さと柔らかさ、色気と可愛げの両面をないまぜにしながら魅せている。

 それは、『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のコン・ユにも通じる。渋みの利いた大人の男のなかに浮かぶ純粋な少年性に、胸をくすぐられてしまう。

『ムービング』(C) 2023 Disney and its related entities