■米国でトルコでオーストラリア奥地で…次々現れる透明エイリアン

 さらに、2014年にはカリフォルニア州北部で、2016年にはトルコ南東部の都市、ディヤクバクルで透明エイリアン(エンティティ・エイリアン)が撮影されている。

 どちらも3~4分の短い映像だが、不可解な存在が映し出されている。カリフォルニアのそれは動画の冒頭、画面の左、夕焼けをバックにぼんやり映った木の影のようなものが7~9秒あたりで歩き出しているのがわかる。

 こちらは透明とは言い難いが、滲んだような輪郭で米国の都市伝説「スレンダーマン(注4)」を彷彿とさせる不気味な姿だ。

注4:2009年、とあるサイトで語られ始めた比較的新しい都市伝説で、黒いスーツを着た異常に瘦身で背の高い、しかものっぺらぼうの怪人。爆発的にネットで拡散し、ゲーム・マインクラフトの「エンダーマン」のモデルになったり、映画が製作されたりした。

 一方、トルコのそれは通称「ペンギン・エイリアン」。その名のとおり、こちらも白と黒を基調とした半透明のフォルムで、何より不気味なのは見える角度によって、まったく厚みのないペラペラのような姿に見えるところだ。

 周囲の物体との縮尺を勘案すると30センチ程度の小型で、動画の途中で宙に浮いて消えたかと思うと、再びスーッと空から降りてきて、最後は画面の奥へと消えていく。

 

デイリー・ミステリーズで公開された透明エイリアン「リトル・グレイ・ビジター」の画像。

 最後はオーストラリアから。2018年にミステリー・ニュースサイト「Daily Mysteries」で公開された画像だ。

 撮影時期は不明だが、オーストラリア北東部、ヨーク岬半島の人里離れた山荘で撮影されたものだという。

 この画像を同サイトに公開した現地のUFO研究家、メリーナ・マルカン氏はここに映った半透明の存在を「little grey visitor(リトル・グレイ・ビジター)」と呼んでいる。

 

 画像を見るとわかるように、テラスの手すりに満たない身長で、背後の柱が透けて見えている。

 ただ、やや大きなアタマと黒々とした大きな目は、いわゆる「グレイ型エイリアン」そのもの。残念ながら撮影時の状況や、透明エイリアンの詳細は同サイトでは公開されていないが、追加情報を期待したいところだ。

 

■果たして彼らは“どこ”から来たのか? なぜ透明なのか?

 

 世界各地で出没する透明エイリアン(エンティティ・エイリアン)。彼らは「どこ」から現れるのか? ひとつのヒントになるのが「UFOはどこ由来のものか?」という古典的な議論だ(ただし、ここからは真面目にやると長くなるので駆け足でw)。

 

いわゆる「ブラック・トライアングル」というタイプのUFOが1980年代にはよく目撃された。後々、米軍がエイリアンから技術提供を受け開発している「地球製UFO」TR-3B(通称アストラ)の実験だったのではとも推測されている。

「単なる見間違い」「撮影ミスやデータのバグ」「そもそも作り物」といった血も涙もない(笑)否定派の意見は抜きにして、基本的には「UFOはエイリアン・クラフト(異星人/宇宙人の乗り物)」という意見が大半。それ以外には「軍の秘密兵器の実験」、「地底人の乗り物」といった説もあり、UFOの正体については諸説紛々。その中で古典的な説の一つに「UFOは異次元から出現したもの」というものがある。

 

 異次元と聞くと「はいはい、謎の四次元人ですよね。怖い怖い」と鼻で笑う人も少なくないだろうが、2005年にハーバード大学の理論物理学教授、リサ・ランドールが著書『Warped Passages(邦訳版『ワープする宇宙』NHK出版/2007年刊)』で世界に衝撃を与えたように、理論物理学や量子力学の世界ではそれぞれ「多元宇宙論」や「多世界解釈」はエキセントリックな学説ではなくなっているのだ(注5)

注5:ただし、多元宇宙論と多世界解釈は全く別物で、極論すれば前者は「宇宙の始まりの時点で無茶苦茶いっぱいの「宇宙」が生まれてんじゃね?」という筋立てで、後者は「世界は際限なく分岐してるみたいだぞ」という話。長くなるし素人説明では不正確なので専門書を読んでくださいね。

 

■ホーキング博士が遺した謎のメッセージとは?

 

 いずれにしても、我々の「この世界」とは別の(目に見えない/別次元の)世界が存在する可能性を強く示唆しているわけで、UFOがやってくる場所として外宇宙だけを考えるのは早計といえるだろう。

 で、透明エイリアンの話。仮に別の次元から現れるとすれば、当然、我々の世界の物理法則とは全く違うルールに則った存在だろう。とすれば、「見えるようで見えない」「立体のようで、かつ平面に見える」という透明エイリアンの特徴や、(この世界の)物理法則を無視したUFOの飛行や出現・消失も説明がつくのではないだろうか? 

 

アインシュタインと並ぶ天才理論物理学者にして、多元宇宙の謎に迫ったスティーブン・ホーキング博士。

 また、昨年2021年6月、米政府は突然、それまで使っていたUFO(Unidentified Flying Object=未確認飛行物体)という名称をUAP(Unidentified Aerial Phenomena=未確認空中現象)に変更した。

「物体」から「現象」への変更。UFOもといUAPがただの乗り物といった「もの」ではなく、次元を超える「現れ」と暗に示しているものとするのは、単なる考え過ぎだろうか?

 

 さらに、2018年に亡くなった天才理論物理学者、スティーブン・ホーキング博士は、遺言ともいえる最後の論文を執筆する中で、

「マルチヴァース(多元的宇宙)を懐柔させてみよう」

 と、謎の言葉を遺している。博士の頭脳の中では多元宇宙のセオリーを解き明かし、ひいてはUFO/UAPや透明エイリアンの謎をも明らかにする理論がすでに出来上がっていたのかもしれない。