都市伝説のある食卓

 都市伝説やオカルト話が大好きで、かつて2ちゃんねるのオカルト板の住民でもあった妻と、オカルトには懐疑的なスタンスのライターで夫の廣田我造。2人の食卓の会話をお届けする連載企画。

 週末、昼飯の準備をしようとしていると台所で妻に声をかけられた。ちなみに廣田は自宅で作業するフリーライターで、妻もリモートワークがメインだ。

 「ねえねえ、大島てるが語っている動画で観たんだけどね」

 出たな、大島てる。事故物件を紹介するウェブサイトを運営する人物で、オカルト界隈では有名人だ。

 「フィリピンで『●●・●●』を歌った人が何人も殺されたらしいよ」

え、なんだそれ? 妙な因縁をつけた話じゃないのか……? まあいい、続きを聞いてみよう。

 「『●●・●●』って、日本では意訳されているけど、英語の意味はけっこう違うらしいの」

ほうほう。『●●・●●』といえば、日本では布施明が歌ったバージョンが有名だが……。

「英語の歌詞だと、かなり尊大に聞こえるらしいの。フィリピン人は英語がネイティブでしょ。ギャングの抗争も激しいし、自分のテリトリーでこの曲を歌われると、すごく嫌味で偉そうな態度をとっているように感じるんだって」

 作詞はポール・アンカだが、『●●・●●』の原曲を歌ったのは、フランク・シナトラ。シナトラはイタリア系マフィアとの深い関係があったことで知られる人物。ありえる話かもしれない。

「ニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』も誤訳されているという話もあるね」

「“ティーン・スピリット”が10代向けの安いデオドラントだったって話ね」

『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』の誤訳の件は、映画評論家の町山智浩氏がコラムで書いて有名になったのだが、現在は英語ネイティブのアメリカ人によるさらに詳しい解説がYouTubeに多数UPされているので、気になった方はぜひ検索してほしい。

 ちなみに日本の演歌には、特定の広域暴力団が依頼して制作されたと言われる曲が存在し、盛り場などで、対立組織が運営する店だと知らずに歌うとトラブルになることがある。

 話を戻そう。大島てる氏が語ったこの話は、島田秀平氏がホストを務める番組「初耳怪談」(テレビ大阪)のYouTubeチャンネルで公開されたもの。気になった方は、動画をご覧ください。

【初耳怪談】歌ったら●される!?大島てるがヤバすぎる「事故物件ソング」を語る!【島田秀平】【怖い話】
https://www.youtube.com/watch?v=i9l5AsiAeKE

(文=廣田我造)