■アルメニアンパワーの恐るべき犯罪
※「ARMENIAN POWER GANG 13 FIGHT」と題された動画。彼らのファッションや顔つきなどが確認できる。
アルメニアンパワーは麻薬密売、殺人、暴行、詐欺、個人情報の盗難、違法なギャンブル、誘拐、ゆすり、強盗、恐喝に関与。
2010年、彼らは「メディケイド詐欺」という大事件を引き起こしたことで一躍有名になった。アメリカにおける高齢者および障害者向け公的医療保険制度「メディケア」を悪用し、25の州に118の架空の診療所を作り、盗んだ医師免許番号を利用。正当な患者の名前と請求情報を使って、1億6300万ドル(約220億円)を請求、3500万ドル(約47億3千万円)を受け取り、73人が逮捕された。
また、2011年のFBIレポートによると、アルメニアンパワーのメンバーが99セントオンリーストア(日本の100均ショップと同じようなもの)のレジに「スキミングデバイス」を設置し、顧客の情報を盗んで偽のクレジットカードやデビットカードのアカウントを作成。200万ドル以上の損失を引き起こした。さらに、高額の銀行口座の顧客情報を違法に取得し、顧客になりすまして小切手を取得、現金化するという大規模な小切手詐欺にも関与した。彼らは郵送された小切手を盗むために、被害者の住居を訪れていた。
2014年には2人のギャング(1人はアルメニアンパワーに所属し、もう1人はスレーニョスに所属)がシリア内戦で、バシャール・アル・アサド大統領を支持して戦う様子が撮影された。
そもそも、旧ソ連であるロシア、ウクライナ、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャン、キルギスタン、エストニア、ウズベキスタンなどの犯罪者は互いに連携していた歴史的背景がある。
アルメニアンパワーのリーダーは、単なるストリートギャングの枠を超えて国際的な活動を展開し、悪名高きロシアの犯罪組織ボール・フ・ザコーネ(Thief in law)と対等な対話ができるという。
日本人にとって、まだまだ謎多き存在であるアルメニアンパワー。ロシアと国際社会との間に緊張感が走る現在、その名前が意外なところで突如現れるかもしれない。