■ロシア版「BREAKING DOWN」はさらにヤバかった!

 日本では格闘家の朝倉未来(あさくら・みくる)がアンバサダーを務める“1分間最強”を決める格闘技イベント「BREAKING DOWN」がYouTubeで爆発的な人気を集めているが、似たような動きが世界中で始まっている。

 2022年2月にロシアがウクライナへの侵攻を開始して以降、ロシアのサブカルチャーを扱うのはタブー視されている面もあるが、ウクライナ侵攻よりも前、2020年1月にロシアで産声を上げた格闘技イベントが「TOP DOG」だ。

※閲覧注意!

 大会はアマチュアの格闘家が創設し、天井の低い地下駐車場からYoutubeで放送が開始されたが、現在では会場もデカくなり数百万人が閲覧。ロシア国外でも人気で2番目に見ているのはアメリカ人。コロナ渦のストレスで人々の攻撃性が高まっているため、人気になったという。

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■藁の壁の中で半裸の男たちが……あれ、どっかで見たぞ

 その特徴は「素手で殴り合う格闘技」というなんとも危険なルール。最初の大会のイメージを守るためか、選手たちは藁が積まれた壁に囲まれたリングで殴り合う。上半身は裸が多いが、下はジーパンかジャージにスニーカーという出で立ち。まさに映画の『ファイト・クラブ』を実写にしたような、「本物のストリートファイト」を格闘技イベントにしてしまったのだ。

 この動画を見た方の中には「あれ、こんなシーン、どこかで見たぞ」と思ったのでは? ロシア、熱気の籠る試合場、殴り合う半裸の男たち……そう、大団円を迎えた人気漫画『ゴールデンカムイ』の樺太(からふと)編、どMの暴力変態紳士、岩息舞治(がんそく・まいはる)が仕切っていた格闘興行だ!

 あちらも実は、ロシア伝統の格闘大会「スチェンカ(ステンカとも)」がモデルで、正式には「スチェンカ・ナ・スチェンク(壁対壁)」という祭りの際に行われる団体戦の格闘イベント。時には100対100なんて大規模なものもあるという。どうやら「TOP DOG」もこうしたロシア伝統の格闘興行の系譜を継いだものと言えそうだ。

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■古代格闘技へ先祖返り?スポーツとは縁遠いコワモテ選手たち

 もともと素手で殴り合う「ベアナックル・ボクシング」から、必ずグローブをはめて闘う現代ボクシングへと“進化”してきたように、格闘技の歴史の中で「素手」で殴り合うことがいかに危険な行為であるかは実証済み。ヘタをすると命の危険さえあるのだが、それゆえに迫力は満点だ。

 それゆえ、この「TOP DOG」をはじめ、アメリカの「ベアナックル・ファイティング・チャンピオンシップ(BKFC)」やイギリスの「ベアナックル・ボクシング(BKB)」など、世界各地で古代格闘技・パンクラチオンに先祖返りしたような格闘興行が人気を博している。ちなみに、先述の岩息舞治のモデルもBKBで鳴らしたマイケル・ピーターソン(別名チャールズ・ブロンソン……なぜw)。

 1発パンチが当たれば鮮血が飛び交い、どれだけボッコボコに攻められていても、あっという間に形勢が逆転する。線の細いガリガリ体型の選手や、腹の出たぽっちゃり体型の選手が刺青(いれずみ)だらけのコワモテ選手をノックダウンしたりするので、結果はまったく予想がつかない。

 YouTubeチャンネルの登録者数は143万人で、現在まで15回開催された大会の動画が公開されている。日本で同様の格闘技が実現することは不可能だろうが、格闘技ファンなら一度見ておくべき……かも?

YouTubeチャンネル「TOP DOG」

https://www.youtube.com/c/TopDogFC

公式サイト

https://topdogfc.ru/