WORLD WIDE GANG REPORT
VOL.4 MS-13(マラ・サルバトルチャ)
アメリカのストリートギャングといえば、有名ラッパーを数多く輩出した黒人系のクリップスとブラッズなどが代表的(WWGR第3回を参照)。しかし、現在最も凶悪で多数の人数を抱えると思われるのが、MS-13(マラ・サルバトルチャ)だ。
メンバーはアメリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、アメリカ、カナダなどに存在し、その数は全世界で約7万人。人身売買(麻薬、武器、人間)、恐喝、殺人、マネーロンダリング、誘拐、強盗、不法入国、暴行、売春などを行なう犯罪集団で、被害者も逮捕されるメンバーもその多くは未成年者だ。
なぜこれほど未成年のメンバーが多いかというと、アメリカ国内で移民を受け入れている学区の多くは保護者のいない10代の若者の受け入れに消極的だったため、未成年者の多くが街に溢れることになる。結果、行くあてのない若者をMS-13が強引にメンバーに引き入れている、という事情もあるのだ。
また、MS-13は非常に暴力的で何の躊躇もなく未成年者や女性も殺害する。エルサルバドルでは2006年には5000人に1人の割合で女性が殺害された。敵のギャングに報復するとき、その家族、友人、隣人の両方を標的にし、年齢に関係なく、家族全員を全滅させるという。
2004年12月にはホンジュラスで、死刑の復活を提案した政府に反意を示すため、アサルトライフルを持った6人のガンマンによってバスが襲撃され、一般市民28人が死亡し、14人が負傷した。