■奴隷狩り、農業、集団でイカダを形成……!
その祖先が誕生したのは、2億年以上前のこと。現存する種類は1万2000種以上。多くは家族単位でコロニーを作って生活し、繁殖行動を行う雄アリと雌アリ、働きアリ、兵隊アリなどに分かれるが、その役割は種類によって千差万別。
アフリカ大陸に生息するマタべアリは、負傷した仲間を救護する「衛生兵アリ」が確認されている。生きた動物を襲ったり、自ら栽培した菌類を主食にしたり、別種のアリを襲って奴隷にしたり、集団のアリが組み合わさってイカダを作り、水上を移動するアリも存在。日本には280種以上のアリが生息している。
ディノハリアリの捕食シーン
アリのサイズは1~30mmだが、世界最大のアリは女王アリが3~40mmになる「ディノハリアリ」。ブラジル、ガイアナ、ボリビア、パラグアイ、ペルー、エクアドル、コロンビアなど南アメリカに生息。毒針を持ち、両生類や爬虫類も餌にする。人間でも刺されると非常に強い痛みを感じるため、現地では恐れられている。
■人間の命を奪う猛毒を持ったアリまで存在
恐怖のサシハリアリ
ニカラグアからパラグアイまで、中央アメリカに生息する「サシハリアリ(パラポネラ)」も巨大で、そのサイズは18~30mm。強烈な毒を持ち、人間が刺された後は痛みが24時間続くという。
あまりに激烈な痛みのため、銃弾に撃たれたようなショックを与えることから英語では「Bullet ant(弾丸アリ)」と呼ばれる。
さらにオーストラリアには”殺人アリ”と恐れられる「ブルドッグアント(キバハリアリ)」も存在する。集団で襲われた場合、アナフィラキシーショックで命を失う例もあるというのだ。
人間が登場するはるか昔、恐竜が跋扈(ばっこ)した時代から地球を支配してきた“アリ”。いつか人間が滅んでも、アリは生き続けるのかもしれない……。