■陰謀論の入り口は「食」にあった!
11月19日(土)、高円寺pundit’でトークイベント「裏の近現代史ナイトVol.02 ~マルチな陰謀をメシからウォッチング!~」が開催。
初の著書『あなたを陰謀論者にする言葉』(フォレスト出版)やサイゾーの連載「現代怪事廻説」が話題を呼んでいるライターで雨宮純氏、王道オカルト誌『ムー』から「ダイヤモンド・オンライン」「現代ビジネス」まで幅広く活躍するサイエンスライターの川口友万氏、人気オカルトサイト「TOCANA」の元編集長で現在はフリー編集者・YouTuberの角由紀子氏、「文春オンライン」や「女子SPA!」などでマルチ商法やトンデモ健康法に鋭く切り込んでいるライターの山田ノジル氏により「食の陰謀論」に関するトークを展開。会場は満席で、オンラインでの生配信も大盛況となった。
昨年11月に雨宮氏の著書出版記念で開催された第一弾の好評を受け(実際、リピーターが多く、中には「第一回のトークが面白くて川口さんのフォロワーになっちゃいました」と語るカップルも!)、満を持して開催された今回のイベント。人が陰謀論やトンデモ健康法、マルチ商法にハマるきっかけは、生きていく上で一番身近な「食」にあるということで、今回は「食の陰謀論」を軸にイベントは展開された。
■いま急速に広まっている「昆虫食陰謀論」とは?
まず、テーマになったのは「昆虫食陰謀論」。雨宮氏は、何かが流行すると「それは陰謀だ」と言い出す人がいる、といい、“某コーヒーチェーンのクリームパイが、ジャンボタニシのたまごに似ている”と話題になった件について、とあるツイッターアカウントが「昆虫食を推し進める大手企企業による洗脳だ」という説を唱え、それが注目されてしまったという例を紹介した。
また、山田氏は「(某コーヒーチェーンは)何かと叩かれがち」だといい、赤色の着色料にカイガラムシが使われていることについて「虫が使われている」と陰謀論者の間で騒ぎになったことがあると補足した。
ちなみにカイガラムシは赤色の染料、食品添加物として使われる「コチニール色素」の原料。現在も清涼飲料水、酒、菓子類、カマボコなどに使用されている。なお、某チェーンは結果的に、カイガラムシ由来の着色料の使用を中止せざるを得なくなったという。
「化学合成の添加物はダメ、じゃあ天然由来の添加物ならOK。でも天然由来なのにカイガラムシはNGってよくわからないですよね」(川口氏)
パネラーの一人、山田ノジル氏によれば、「昆虫食」は現在、世界的な食糧問題の解決策として注目されていたが、無印良品が「コオロギせんべい」を発売したインパクトからSNS上で急速に昆虫食陰謀論が注目されつつあるという。そもそも“虫を食べる”ということに嫌悪感を示す人が多く、そこから「政府・大企業の陰謀だ」などと陰謀説の扉を開いてしまうようだ。
■「塩は体にいいから」とエクストリーム目薬を作る強者も
次にテーマになったのは「塩」。
パネラー陣によると「波動を高める」「エネルギーを高める」「健康回復の力を高める」と喧伝し、一般的な塩より高額で販売されている塩が多数存在しているという。
雨宮氏は「アトピーに塩が効く」という説を唱え、症状が悪化しても「毒が浸透圧で引っ張り出された証拠」であり「好転反応だ」と主張するツイッターアカウントを紹介。
塩、インドのバター、ひまし油、はちみつを使った自作の目薬を子どもに使わせる主婦もいるといい、「塩が体にいい」と主張する説に対して警鐘を鳴らした。
■飲尿健康法の注意点(?)からEM菌、無農薬農法の盲点まで
角氏は「飲尿療法にハマったときに目薬にするといい」と言われた事例を紹介。その話の流れで、「あるイベントで自分の尿を飲んだとき、他の参加者も“飲みたい”と角氏の尿を飲み、1時間後に歯茎がパンパンに腫れてしまった」という話を紹介。会場は大きな笑いに包まれた。
さらに話はEM菌、アートテン農法、シュタイナー農法、など、波動や占星術などを用いた無農薬農法を紹介。角氏は「科学的な根拠はどうあれ、当人や購入者がその効能を信じる分には問題ないのでは?」と問いかけたが、川口氏によると、「いや、無農薬農法をやると虫が集まるので、近隣の畑にも影響が出てトラブルになるんだよね」と、問題点を指摘した。
また、雨宮氏は「スピリチュアルマーケティングは売れる」といい、高額な塩も販売サイトでは売り切れ続出となっている、と説明。
「現代科学では証明されていない」「宇宙の波動を伝える」など、オカルティックな謳い文句で販売される商品が世の中に溢れる理由は、シンプルに「売れる」からなのだろう。
■南千住の「超能力たこ焼き屋」の突撃リポートも
イベントの後半、川口氏が、超能力、「波動」で味が変わるたこ焼きを販売している南千住の「パワーブレンドTANAKA」を紹介。川口氏は「味の変化は感じられなかった」というが、角氏は「変わった気がした」と主張。感覚は人によって違うようだ。
そこから、川口氏がサイエンスライターの立場から「波動」によって味が変わる現象について検証。
まず、「プラセボ効果」について、増毛薬「プロペシア」を飲ませたAグループと、飲ませなかったBグループで、Bグループの6%で効果があったというデータを紹介。プラセボ効果の理由は、いまだ謎だという。
「〇〇に効く」「〇〇で病気が治った」という民間療法は多いが、どんなものでも信じれば6%の結果は出る、ということ。何か新しい健康法を他人に勧められたときには、注意が必要だ。
さらに、「音」「緊張」「催眠」でも味が変わるといい、その実例を紹介。最大の効果が感じられるのは、「振動」だとし、会場で日本酒の味比べを実施した。
何もしていない日本酒Aと、業務用の超音波洗浄機で2時間振動させた日本酒Bが配られた。Bは超音波洗浄機によって熱が発生し、ぬる燗状態になってしまったが、角氏は「Bはまろやかな気がする」とコメント。記者も試してみたところ、確かにBはまろやかになったように感じた。
その他、原稿には書けない危険な話も多数語られた今回のイベント。イベント動画のアーカイヴは12月3日まで配信されているので、気になった方はぜひチェックしていただきたい。
裏の近現代史ナイトVol.02
視聴期限: 2022年12月3日(土) 23:59 まで
https://twitcasting.tv/tetsuo_pundit/shopcart/193700