■『クレイジージャーニー』で注目の「ナルコトンネル」って?
テレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)が復活し、麻薬カルテルの実情に迫る企画を放送。中でも日本のテレビ局として初めて撮影した「ナルコトンネル」(麻薬トンネル)の映像に衝撃を受けた視聴者も多いだろう。そこでTV放送では伝えきれなかった「ナルコトンネル」について、補足したい。
「narco」とはスペイン語で「麻薬密売人」の意味。「ナルコトンネル」は日本語で「麻薬トンネル」と表現して問題ないだろう。
■今年5月にも「空調完備」な麻薬トンネル摘発!
直近のニュースでは2022年5月、アメリカのカリフォルニア州サンディエゴの倉庫で、国境を挟んだメキシコのバハ・カリフォルニア州ティファナまで続く地下トンネルが発見された。
深さは18メートルで、長さは530メートル。壁は崩れなないように強化されていて、電気も通り、換気システムも完備。麻薬を運ぶためにレールが敷かれていた。
これはまさに「麻薬トンネル」の典型的な実例。なお、麻薬トンネルはメキシコ国内で摘発される例が多いが、今回の場合メキシコ側ではなくアメリカ側で発見された。
■海から空から海中からアメリカへ運び込まれる麻薬
コカインの原料となるコカの木の世界の栽培面積はコロンビアが70%、ペルーが20%、ボリビアが10%を占めている。これが海や陸路でメキシコに運ばれ、世界最大の消費国であるアメリカへ密輸される。
アメリカとメキシコの国境は3141キロメートル。その約3分の1には壁が建設され、現在も増え続けている。これはひと続きの構造物ではなく、壁がない部分はセンサーと監視カメラでモニタリングされている。壁が建設され始めたのは1994年。違法犯罪や麻薬密売が確認された都市部などに設置された。
船、潜水艦、飛行機、人力など様々な麻薬の密輸方法が試行錯誤されてきたが、麻薬カルテルにとって一番効率的なのが壁の下にトンネルを掘る方法なのだ。