■ここ数年、「火球」の目撃が激増しているワケは?
ここ数年、夜空を煌々と照らす「火球」を目撃したという報道をよく目にする読者も少なくないだろう。火球とは流星の中でも特に明るく光を放つものを言うが、2013年2月、カザフスタンと国境を接するロシア中南部チェリャビンスク州で1500人近い負傷者を出した「チェリャビンスク隕石」も火球の一種だ。
このチェリャビンスク隕石は推定直径17メートル、質量約1万トンで、地表から15~50キロほど上空で爆散し無数の隕石に分裂したが、もし仮にそのまま地表に激突していたら、直径100~300メートルほどのクレーターを形成し、周辺数10キロの街も人も跡形もなく消し飛んでいたとされる。
「でも、こんなのは例外中の例外で火球なんてみんな燃え尽きちゃうんんでしょ」
と呑気に構えているあなた、そういうわけにもいかないようですよ……。
■約1万2800年前に流星群が引き起こした大災厄
火球は流星の一種。そして大量の流星が地球に降り注ぐのが、まさに今ピークを迎えている「ふたご座流星群」をはじめとする流星群なのは皆さんご承知のとおり。そして、問題なのが、その中でも10月から11月にかけてピークを迎える「おうし座流星群」なのだ。
この流星群の正体は「エンケ彗星」という母天体から分裂した欠片(デブリ)。そして、この「エンケ彗星」から生まれた無数のデブリが約1万2800年前、地球に壊滅的な被害を引き起こしたとされるのだ。
それが2007年に発表された「ヤンガードリアス衝突仮説」で、南北アメリカ大陸からユーラシア大陸西部にかけての広大なエリアに隕石が落下し、多くの生物を死滅させ、その後1000年近く続く氷河期「ヤンガードリアス期」を引き起こしたとされる。