■次々と不幸が起こるキャバクラ
今から少し前に、知り合いのキャバクラ嬢・A子に取材して聞いた話だ。A子は数年前、関西のとあるキャバクラで働いていた。店はよくある繁華街の雑居ビルにあり、キャバクラ以外にも居酒屋や飲食店が入っていたという。
最初は普通に働いていたが、長く働くにつれてどこか違和感を覚えたという。キャバクラには不定期で出勤するアルバイトと週に4〜5日固定で出勤するレギュラーと呼ばれるキャストに分かれるのだが、レギュラーキャストが全然長続きしないのだ。
指名客を呼ぶレギュラーキャストは、いわば店の稼ぎ頭。そのレギュラーが長続きしないということは店の売上にも大きく影響してくる。しかも、退店の理由は体調不良や客とのトラブルによるストレスなどだったという。
他にも黒服と交際していたレギュラーキャストが黒服のDVにより、全治1カ月の大怪我を負わされて休暇の末に退店。黒服も責任をとってクビになるなど、不穏な出来事は続いた。それからも経営不振は続き、ついに店は一旦閉めることに。その後、大規模な改修工事を経てリニューアルオープンしたという。
■消えたキャバ嬢の行方
あれからしばらく経った頃だろうか、筆者はふたたびA子と連絡をとる機会があった。A子はリニューアル後、すぐに退店したのだが、なんと出戻りとしてふたたびそのキャバクラで働いているという。改修工事の際、店でお祓いをしたためリニューアルオープン直後は不穏な出来事は治まったというが……。
「実は……今でもたまに起こるんです」
A子は店に戻った後、仲のよいキャストができたそうだ。そのキャストとはA子よりも少し年上でMさんという。離婚歴があり、2人の子供を育てるためにキャバクラで働いていた。夜間保育に子供を預けながら、レギュラーで週5日出勤するほど真面目な仕事ぶりだった。
しかし、ある日を境にMさんは変わっていった。きっかけは店の忘年会で訪れたボーイズバー。その日、子供を実家に預けてきたMさんは珍しく酔っ払っていた。そして、ボーイズバーの男にお持ち帰りされ、家に泊まったという。その日からMさんはそのボーイズバーに足繁く通うようになった。
最初は週1……やがて週3、4日と、Mさんがボーイズバーで使う金額は次第に増えていった。やがて、子供を夜間保育ではなく実家に預けるようになったMさんは、さらにその男にのめり込んでいった。キャバクラの店長がMさんに「あまり嵌らないほうがいいのでは」と注意もしたが、Mさんは聞く耳を持たなかった。
「それから、しばらくしてMさんが突然、店をやめたんです。もちろん、店長も私も必死に連絡を取りましたが今も行方はわかっていません」
■不幸が起こるキャバクラ…その正体とは
「律儀なMさんが一言も告げずに黙ってやめることは考えづらい」
とA子。そういえば以前、取材したときにA子はこのようなことを言っていた。
「リニューアル工事前にお祓いをやることになり、神職や祈祷師の人が来たんです。祈祷師によると店の近くにはお寺があり、近くで大規模な事件や災害が起きると遺体安置所として使われていたようです。『その寺と店が入居するビルをつなぐ道路が霊道になっており、その霊道の終点にあたるこの店に良くない気が集まっている』と言われたんです」
果たして、店に次々に起こる不可解な出来事は霊道の因果なのだろうか。そして行方不明になったMさんはどこに行ったのか……。解明されないまま、謎は深まるばかりだ。