■「プロダクト・プレイスメント」の問題点」

 プロダクト・プレイスメントには、有料と無料の2つのカテゴリに分けられる。ほとんどのプロダクト・プレイスメントは無料で、広告主は商品やロケ場所を貸与、または提供する。たとえば車を何台も必要とする撮影の場合、レンタルするだけでもかなりの金額になるが、制作サイドからはこのコストが抑えられる、という利点がある。広告主は、商品の売上の増加や、ブランドイメージの向上を期待する。

 一方で、プロダクト・プレイスメントの商品を無理やり使おうとすることで、脚本が変更されてしまったり、あまりに過剰に商品名が画面に映し出されることで、作品に内容を損なってしまうことがある。

 さらに、プロダクト・プレイスメントは「ステルスマーケティング」だ、という批判の声も多い。広告であることを明記せず、消費者を欺く方法は、欧州連合やアメリカ合衆国では明確に法律で禁止されているのだ。

 日本では芸能人やインフルエンサーによる「ペニーオークション詐欺事件」で「ステルスマーケティング」は一般に認知されたが、法律的にはグレーゾーンのままだ。

 消費者の知らないうちに忍び込んでくる「プロダクトプ・レイスメント」は、ある意味で洗脳。実際に使って満足できるなら問題ないのかもしれないが、企業の思惑に騙されたくはないものだ。