■都市伝説が生んだ悲劇「スレンダーマン刺傷事件」
2014年年5月31日、アメリカ合衆国ウィスコンシン州ウォキショーで、12歳の少女A,Bが都市伝説上のキャラクター「スレンダーマン」に影響を受け、同級生の少女Cを森の中におびき寄せてナイフで19回も刺すという不気味な事件が発生した。
被害者の少女Cは助けを求めて道路まで這って逃げ、救助されて6日間入院し、生還した。犯人の少女A、Bは事件現場から7、9キロ歩いて逃走していたところを、郊外ロードサイドの家具店で逮捕された。なお、犯行に使った刃渡り13センチのナイフは、バッグの中にあったという。
事件後、2人は心神喪失のため責任能力がないとみなされて精神科病院への長期入院という処分になった。
こうした処分が下されたのにはワケがある。犯人の少女2人が「スレンダーマンが本当にいると信じていた」と語り、犯行の動機として、スレンダーマンの「代理人」となり「スレンダーマンの存在を証明する」「家族にスレンダーマンの害が及ぶのを防ぐ」という目的のためだったと述べたのだ。
彼女たちいわく、スレンダーマンに忠誠心を示すためには誰かを殺害する必要があり、そうすれば自分達はスレンダーマンの従者となり、その邸宅に暮らすことになるというのだ。
しかも恐ろしいことに、この事件の直後にも、オハイオ州とフロリダ州で、やはり10代の少女がスレンダーマンに影響を受けて母親をナイフで襲ったり、自宅に放火した事件が発生。都市伝説上の存在「スレンダーマン」が犯行の原因となったという不可解さから、これらの事件は数多くのメディアで報道され、インターネットが子どもに与える影響について議論が巻き起こった。