■地球温暖化でマンモスが溶け出した

 この、地球上で一番寒い国、サハ共和国を象徴する存在が、永久凍土から発見される「マンモス」だ。2005年、愛知県で開催された愛・地球博で展示されたマンモスの一部(牙・頭部・左前脚)はサハ共和国で発掘されたものだった。

 そんなサハ共和国では、ここ数年、毎年100トンを超えるマンモスの牙が発見されている。約1万年前に絶滅したとされるマンモスだが、近年、地球温暖化によって永久凍土が溶けはじめ、凍っていたマンモスが地表に現れてきたのだ。

 永久凍土とは、2年以上連続して0度以下になる地面のこと。太古に生きていた動物の死骸が、腐らずそのまま凍っている状態で発見されることがある。

 保存状態のよい牙は1キロ約4万2000円前後で取引されるため、ロシアでは「ゴールドラッシュ」にちなんで「マンモスラッシュ」と呼ばれている。

 マンモスの牙は象牙と違って国際的な取引規制がなく、漢方薬や印鑑の原料として、中国や日本に輸出されているのだ。

■掘り起こした死肉の危険性

 永久凍土の中から発掘された古代の動物の死骸には、未知のウイルスや細菌が含まれている可能性があり、人類を脅かす病気を掘り起こしてしまう可能性がある。2016年にはシベリアの凍土から溶け出したトナカイの死骸から出た炭疽菌が2000頭以上のトナカイに感染し、一人の少年が死亡してしまった。

 これから先、COVID-19を超えるような、人類に危害を加えるウイルスが溶け出して拡散してしまう可能性はゼロではないのだ。