■「鬼達磨虎魚」って妖怪か暴走族の名前かよ!
オニダルマオコゼ(学名:Synanceia verrucosa)はカサゴ目フサカサゴ科に属する魚。背びれのトゲから「1匹分の毒で成人男性4人の致死量になる」とされる強力な毒液を分泌する危険な魚類だ。ダイバーの間では「絶対に近づいてはならない魚」として昔から有名だが、一般の人には今一つピンとこないことだろう。
ちなみに、よく似た名前の「オニオコゼ」は刺身に良し、煮て良し唐揚げも最高と人気の高級魚(ちなみにこちらも毒あり)。そのオニオコゼよりひと回り大きく、ぼってりとした姿から「ダルマ」の名前が加わったのがオニダルマオコゼ。漢字では「鬼達磨虎魚」(注1)と書く。まるでイキり倒した暴走族のチーム名か、古文書に書かれた妖怪のような名前だ。
注1/「虎魚」は一文字で「おこぜ」と読む漢字もありますが諸事情で表記できません。あしからず。
実際、このオコゼの仲間はそのグロテスクさから、自他ともに認める醜女(しこめ≒ブス)とされる山の神を「あら~、アタシより醜いのいるのね。安心したわ♪」と慰めるため、捧げものにされたとか、「オコ」という言葉自体が「醜い、不気味」を意味する古語だとか、実しやかな伝説の多い、妖怪じみた魚なのだ。