■神秘の島の石が持つ不思議な力

至るところに聖なる気が漂う沖縄。しかし、知らずに禁忌を犯すと……

 沖縄の石には古くから不思議な力が宿るといわれているのをご存知だろうか。

 沖縄の道を歩いていると所々で見かける石敢當(いしがんとう)は、沖縄で古くから信じられている魔物を撃退する魔除けの役割を果たすための石である。また、私が行った斎場御嶽。2つの巨大な岩が織りなす三庫理(さんぐーい)と名付けられた空間は琉球の創世神であるアマミキヨが降臨した場所と言い伝えられている。

 第6回の記事で書いたように、私が久高島(くだかじま)に行った際、間違えて島でもっとも神聖な聖域に入ってしまってしまい、その後、体調不良に見舞われた。実は、同じように沖縄でエラい目にあった友人がいたのだ。今回はそんな彼女のエピソードを紹介しよう。

■沖縄へ旅行したキャバクラ嬢のリサ

 今から15年ほど前、歌舞伎町のキャバクラで働いていた頃、同じ店にリサというキャストがいた。当時、SNSといえばmixiかブログが主流でキャバ嬢の間でも旅ブログが流行っていた。リサも旅ブログを書いており、国内外色々な場所を回っていた。そんなリサが沖縄に旅行したときのことだった。

 沖縄へ一人で旅立ったリサは向こうで地元の友達と合流した。友人が車を出してくれることになり、名護の海でビーチパーティーをすることになったのだ。沖縄の人は海に入る機会は少ないが、代わりに暖かくなると仲間同士でビーチでバーベキューをする。これがビーチパーティーだ。

「友人は海に入らないのでTシャツに短パンという服装でした。私はせっかく沖縄に来たのだからと、ひとり水着になって海で泳いでいたんです。しばらくして海から上がり、友人の元に戻るときに木陰があり、その中に丁度いい大きさの石を見つけました。泳いで疲れていたので、その石に座って少し休憩することにしたんです」

 しばらくして友人の元に戻り、ビールをたらふく飲み、ビーチパーティーは夕方には終了した。その後、リサと友人達は予約していた近くの民宿に向かった。

■眠りにつこうとしたリサを襲った異変!

 その日の夜、民宿でみんなで酒を飲んでいた。夜も遅くなり、そろそろ眠りにつこうとした時、リサの体に異変が起き始めたという。

「体が火照って眠れないんです。全身が真っ赤になっていたので日焼けしたのかなと思い、冷却ジェルで冷やしたり日焼け用のクリームを塗りました。でも、全然効かなくて冷えるどころか何だか息苦しい。友人が民泊の人に体温計を借りてきてくれたので熱を測ってみると、なんと40度近い熱があったんです」

 全員、酒を飲んでしまっていたため、病院に行くことができなかった。どうしようとなっているときに友人の一人が突然、こんなことを言い出した。

「『私、おばあちゃんがユタだから聞いてみる』と言い出したんです。後で知ったのですが、ユタは人生相談をする以外にも医者が治せない病を治すときにも相談するというんです。私は半信半疑でしたが、持ってきていた解熱剤を飲んでもまったく熱が下がらないので藁にもすがる気持ちで友人にお願いしました──」