■この場所には「もう一本の霊道」が存在する!?

こんな賑やかな通りを歩く人の中に「人ならざるモノ」が紛れている?

 そう考えていたところに、霊道の話を教えてくれたキャバ嬢・A子から、

 

「実は、もう一本、別の霊道もつながっているらしいんですよね……」

 

 と、驚くべき証言が届いた。霊道が2本? そのキャバクラは幽霊のターミナル駅なのか? 詳しく尋ねたところ、「霊道の終点」とされるこの店につながる「もう一本の霊道」とは、ほぼ北東から斜めに梅田駅へと向かう都島通に沿っているという。

 

「えっ、霊道ってもっと薄暗い、狭い道のイメージなんだけど……霊ってそんな大通りを通るの?」

「知りませんよ、そんなの。でも、その先、スーッと北東に向かうと何があると思います?

 

 そう言われてハッと気づいた。天神橋筋六丁目の交差点だ。ご存知の方もいるかもしれないが、この交差点の目と鼻の先は1970年(つまり千日デパート火災のちょうど2年前)に死者79名、重軽傷者420名の被害者を出した「天六ガス爆発事故」の現場なのだ。

天六ガス爆発事故の現場近くには慰霊碑が

 しかも、この悲惨な事故の際も、祈祷師が霊道の起点と言っていたB寺が遺体安置所になっていたことがわかった。偶然の一致、あるいは「悲惨な事故の遺体が集められた場所」という強烈なイメージから霊道なんて噂が囁かれるようになったと思いたいが……。

 

■梅田を取り巻く大蛇のように伸びる霊道?

 話が複雑になってきたので、参考までにA子の証言をもとに地図にまとめてみた。

google mapを元に編集部作成

「霊道キャバクラ」の正確な位置は明かせないので大まかなラインになってしまうが、今回、火災が起こったビルも天六交差点付近から都島通を通り、B寺までぐるっと回り込む2つの霊道を繋いだライン上にある。まるで大蛇がとぐろを巻くように走る霊道に囲まれた場所、これがA子が話していた霊道の終点となり、良くない気が集まっているエリアだというのだ。

 

 なお、このエリアはA子が勤めていたキャバクラの他にも夜の店が集まる歓楽街だ。千日デパート火災で亡くなった客やホステスの霊がこの道を好んで通るのはなんとなく、わからなくもない。

 

■霊道の終点には誰もが知る心霊スポットが!

霊能者が語る「霊道の終点」付近にある泉の広場には、ある怪談が伝えられていた(写真は回収された後の現在の姿。以前は中央部分に泉があった)

 この地図上にラインを引いていて、私はある噂を思い出した。A子は気づいていなかったが、この2つの霊道上には、もう一つ、大阪では誰もが知る有名な心霊スポットもあったのだ。正確には霊道の終点付近の地下、そこには「泉の広場」という待ち合わせスポットがある。

 

 この泉の広場にはかつて「赤い女」と呼ばれる有名な怪談話があった。目撃した人の話によると、「赤い女」とは長い髪に小柄で痩せた身体で赤いワンピースを着ており、白目がない漆黒の黒目が特徴。常に「%$#“●×…・…」と意味不明な独り言をつぶやいていたという。

 

 その正体は目撃者により、「あれは霊的な存在、地縛霊のようなもの」とか、「いや、ヤバそうな女だけど生身の人間」などと、いまだに意見が分かれている。なお、この泉の広場には昔から立ちんぼがよく立っており、赤い女は男に騙されておかしくなった娼婦なのでは……という噂もあった。

 また、赤い女の噂が流れたのは2000年前後だったが、その後、2002年に広場が再改装された際にイタリア風の噴水が広場ができたことによって姿を現さなくなったと証言する人もいる。

 

 いずれにしても、実はこの「霊道」上にはさらなる怪異が起こっているのかもしれない。女と男のさまざまな欲望がうずまく夜の街、しかも、霊道が大蛇のようにまとわりつく場所となれば、何が起こっていてもおかしくはない(実際、有名な事故物件サイト「大島てる」でもきな臭い事例が頻出している)。今回の取材はここまでだが、さらに”怪異も集まる街・梅田”について、取材を進めていこうと思う。

 

編集部より
今後も第二弾に向け、カワノさんが梅田にまつわる怪異について取材中です。読者の皆さんのなかでも「実は梅田の〇〇でこんな怪異体験をした」「梅田(またはその近辺)にまつわるこんな伝説を知っている」という方は、電脳奇談のツイッター@cyber_kidanまでご連絡よろしくお願いします。