■毎年“新事実”が発見される厄介なヤツ・恐竜

恐竜は現代の生き物に比べてなぜ巨大だったのか? まだ謎は解かれていない

/画像:Wikimedia Commons

 恐竜はどんな生き物だったのか、毎年のように新事実が登場し、何が本当で何が最新なのか、大変わかりにくい。

 

 恐竜と聞いて「ブロントサウルス」という名前を覚えている中高年も多いと思うが、ブロントサウルスという名前はなくなってしまった。代わりにアパトサウルスと呼ばれている。アパトサウルスとブロントサウルスは同じ種だということで、先に名付けられたアパトサウルスに名前が統合されたのだ。名前一つとっても、恐竜は何かとややこしい。

 

 恐竜の体が巨大な理由も、昔と今では違っている。以前は「恐竜の巨体は体温を維持するため」と考えられていた。恐竜=爬虫類(はちゅうるい)だったからだ。

 

■恐竜は体が冷えないように巨大化した爬虫類?

ワニは恐竜の子孫ではなかった?

/画像:Wikimedia Commons

 爬虫類は変温動物だ。ワニや蛇が日なたでじっと動かないのは、夜になって寒くなると体が動かなくなるため、昼間のうちに体内に熱を貯めているのだ。

 

 寒さに弱い爬虫類は温帯~熱帯を中心に生息し、緯度が高くなると極端に数を減らし、北極や南極には生息していない。ところが恐竜の化石は、アラスカや南極など寒い地域でも発見されている。そこで恐竜が爬虫類なら、気温が下がっても体温が下がらないカラクリがあるはずだと考えられた。それが巨大化だ。

 

 量が多いお湯のほうが少ないお湯よりも冷えにくいように、体が大きければ、失われる熱よりはるかに多い熱を体に貯めておけるために、体温が下がりにくい。爬虫類など変温動物であっても、気温の変化に影響されにくいのだ。これを「巨大恒温」と呼ぶ。

 

■お尻に体温計まで突っ込まれたのに……

 本当に体の大きな爬虫類のほうが体が冷えにくいのか、1930年代に古脊椎動物学者のコルバート博士が、大きなワニと小型のワニを捕獲し、夜間の体温の下がり方を測定した。

 

 博士は捕まえたワニを川岸の棒坑にロープでしばりつけると
「ワニの肛門に体温計を刺し込んで測定する」
 という、ワニには大変迷惑な方法で検証し、身体が大きなワニは小さなワニよりも体温が下がりにくいと発表した。

 

「かくして恐竜は身体を巨大化させることで 、体温の低下を防ぐことに美事に適応した動物とみなし得る」(以上「恐竜の骨細胞は語る」地学教育と科学運動 19号 1991年 2月より引用)

 

 ワニの尻に体温計を突っ込まれては、それは正しいとしか言いようがない──ところがだ。

 ワニには申し訳ないが、恐竜は爬虫類ではなく鳥の祖先、正確には、生き残った恐竜の末裔が鳥類ということらしいのだ。巨大恒温も何も、鳥はそもそも恒温動物。そのご先祖様であれば、恐竜も恒温動物ということになる。